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「金正恩に会わない」というバイデン氏、南北・米の朝首脳会談という幻想から脱しなければ

「金正恩に会わない」というバイデン氏、南北・米の朝首脳会談という幻想から脱しなければ

Posted March. 31, 2021 08:16,   

Updated March. 31, 2021 08:16

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米ホワイトハウスは29日、バイデン大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に会う意向はないと明らかにした。サキ大統領報道官は29日、米朝首脳会談の準備をしているのか問われ、「大統領のアプローチ方式は異なる」とし、「(正恩氏に会う)意図はない」と述べた。一方、正恩氏の妹の金与正(キム・ヨジョン)党宣伝扇動部副部長は30日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領について「ずうずうしいこと極まりない」とし、韓国が弾道ミサイルを開発しておきながら北朝鮮の弾道ミサイル発射を問題視していると非難した。

ホワイトハウスの今回の発言は、今後「トランプ式の即興首脳会談」はないという宣言に相違ない。バイデン氏は昨年の大統領選の際、トランプ前大統領が条件なく正恩氏と会い、北朝鮮に正当性だけを与えたと批判した。昨年10月には「核の能力を縮小すると合意すれば会う」と述べた。対北朝鮮政策の見直しが最終段階に入る中、北朝鮮の核問題をめぐる議論が進展しなければ正恩氏に会わないという立場を固めたとみられる。

バイデン氏のこのような対北朝鮮認識は文大統領と距離がある。文大統領は新年の会見で、「正恩氏は非核化の意志が明確にある」とし、「いつどこででも会う用意がある」と述べた。文大統領は、北朝鮮の非核化の意思を強調し、会おうと言ったが、バイデン氏はまだ非核化の意思は信じられず、会うことはできないという立場だ。

このような認識の差は、北朝鮮への対応でも現れざるを得ない。与正氏は、韓国の弾道ミサイル開発に触れ、北朝鮮の弾道ミサイル発射を正当化した。しかし、これは強引な論理だ。国連安保理は2006年の1回目の核実験の後、決議1718号を通じて北朝鮮の弾道ミサイル発射実験を禁止した。韓国の弾道ミサイルはこのような決議に該当しない。にもかかわらず与正氏の「弾道ミサイル詭弁」に対する指摘はなく、大統領府は「遺憾」だけを表明した。日米が強調した国連決議違反という指摘ももちろんみられない。

このような状況なら、今週ワシントンで開かれる韓米日の安全保障高官協議で、北朝鮮をめぐる事案で一致した声が出ることは難しい。北朝鮮の明白な弾道ミサイル挑発への対応で異なるなら、北朝鮮核問題の対応でも不協和音が出ざるを得ない。北朝鮮に対して低姿勢を続け、同盟の弱体化を招きかねない危機だ。