Go to contents

退渓先生の祭祀膳には、「トックク、干し明太、チヂミと果物、お酒」がすべて

退渓先生の祭祀膳には、「トックク、干し明太、チヂミと果物、お酒」がすべて

Posted February. 06, 2021 08:12,   

Updated February. 06, 2021 08:12

한국어

トックク(お雑煮)、干し明太、チヂミ、果物、お酒…。

退渓李滉(イ・ファン)先生の宗家の旧正月の祭祀膳には、この5種類の料理だけが供えられる。第17代宗孫のイ・チオク氏(45)は、「旧正月の祭祀膳には真心を込めて簡素化する」と話した。これは退渓先生の教えを反映した結果だ。退渓先生が、祭祀膳に油蜜果(小麦粉を蜂蜜と混ぜ合わせて油で焼いたお菓子。作るのが面倒で高い食べ物を意味する)を載せるなという遺訓を残したことはよく知られている。

伝統祭礼文化の指針書である「朱子家礼」によると、旧正月は簡単な料理を用意して先祖に新年のあいさつをする日だ。朱子家礼には、旧正月の祭祀膳に酒一杯とお茶一杯、果物一皿を供え、酒は一度だけ供え、祝文も読まないと書かれている。

専門家らは祝日の祭祀膳を準備する時、形式にこだわらず、状況に合わせることを勧める。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、多くの人が集まってはならない今回の旧正月には祭祀膳に多くの料理を備えることが不要だと指摘する。

成均館(ソンギュングァン)典礼委員会のキム・ドンモク委員長は、「重要なのは心であり、形式ではない」と強調する。キム委員長は、「牛肉の串焼きのような祭祀料理をあえて作る必要もない」とし、「私が好きな豚の三枚肉を1斤買って焼くと、それが『チョク(肉)』となる」と話した。

旧正月の祭祀膳は、トックク(お雑煮)一杯と肉のおかず一皿、デザートで食べる果物で十分だ。高い酒を使う必要もない。マッコリなどの伝統酒を使ったり、水を注いでもいい。果物は、いつも祭祀の時に供える「なつめ、栗、梨、柿」をすべて揃える必要がなく、好みに合わせて食べやすい果物を供えれば良い。キム委員長は、「朝食で食べられる祭祀膳を準備すれば、さまざまな面で負担がない」とし、「自分も食べない食べ物をたくさん準備して、ご先祖様に召し上がってもらうのがかえって問題だ」と説明した。

韓国国学振興院も、「度を過ぎた祭祀膳文化を改善しなければならない」と指摘した。振興院の関係者は、「簡素に始まった祭祀膳は、経済的に余裕ができて、次第に複雑になったとみている」とし、「距離置きが適用された今回の旧正月を機に、祭祀膳が本来の姿を取り戻してほしい」と伝えた。


パク・ジョンミン記者 blick@donga.com