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クリスマスイブの定番メニュー「ラ・ボエーム」の魅力は?

クリスマスイブの定番メニュー「ラ・ボエーム」の魅力は?

Posted December. 01, 2020 08:40,   

Updated December. 01, 2020 08:40

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12月は、プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」の季節。4幕のうち、前の二幕がクリスマスイブを背景とするので、毎年年末になれば、世界各地でラ・ボエームが公演されます。国立オペラ団も、1日に光州(クァンジュ)文化芸術会館、11日と12日にソウル芸術の殿堂オペラ劇場、23日と24日は安東(アンドン)文化芸術の殿堂の舞台でラ・ボエームを上演します。

ラ・ボエームの1幕を聞いた人には、4幕の音楽も馴染めます。ヒロインのミミが、病気の体で恋人のロドルフォの下宿部屋に戻ってきたとき、友人たちは席を外します。この時、管弦楽による1幕の旋律が次々と流れていきます。1幕で下宿生たちがにぎやかにふざけあっていたシーンの音楽が低めに出た後、ロドルフォとミミが恋に落ちる1幕のデュエットの主要旋律が凄然と流れます。なぜ1幕の音楽が再び登場するのでしょうか。

このシーンの直前に、友人たちが出ていきながら部屋が静かになります。意識が混迷していたミミも、我に返りつつ周りが目に入ります。離れていたけど見慣れたところ。恋人の友人たちが騒ぎながら、あらゆる愉快な雰囲気を醸し出し、想起するように感じられます。恋人との初出会いも浮かんだことでしょう。そうした一人の女性の胸に流れたはずのシーンを、プッチーニは1幕の旋律を振り返ることにより、切なく表現したのです。

プッチーニにとって、このように最初の部分の旋律を最後の幕に呼び出すことは初めてではなかったのです。彼の最初のオペラ「妖精ヴィッリ」からそうです。前の部分で、旅行の平安を祈願する祈りの旋律が、後半では男主人公が後悔の中で絶叫する旋律として使われます。作曲家の狙いは何だったのでしょうか。

プッチーニは若い頃、ドイツの作曲家・ワーグナーが好きでした。ワーグナーの「誘導動機(Leitmotiv)」手法にも関心を持っていました。誘導動機とは、特定の人物や出来事を描写する短い旋律的特徴を指します。ジークフリートという人物が登場したときに出てきた旋律や音楽的動機が再び出てきたら、「ジークフリートがまた出るだろう」と推測できます。

プッチーニもここから影響を受けましたが、必ずしもすべての旋律が人物や出来事に一対一で対応する必要はありませんでした。ただ、前に出てきた旋律を再登場させるだけでも、前のシーンに出てきた出来事や雰囲気を再び呼び出すのに効果的でした。

これは、プッチーニが愛した劇のプロットとも関係があります。妖精ヴィッリ、ラ・ボエーム、「蝶々夫人」など、彼の代表作は「プッチーニ公式」と呼ぶにふさわしい共通点があります。①1幕で主人公の男女が恋に落ちる。②愛に危機が近づき、男は無責任か、無力である。③長い別れの時間が過ぎる。④男女は(ほとんど1幕と同じ場所で)再び会うが、ヒロインは病気や裏切りの傷により生涯を終える。

プッチーニは、このようなプロットを繰り広げる時、悲しい後半で、1幕に出てきた幸せなシーンの音楽を再び呼び出し、その間流れた時間と悲しい現実を実感させ、涙を引き出します。このため、プッチーニは、「ダンテの忠実な後輩」という評価を受けました。

イタリアのトスカーナ地方で、プッチーニより6世紀も前に生きたダンテは、「神曲」の地獄篇の登場人物・フランチェスカの口を借りて、「苦しい現在の中で、幸せだった過去を振り返ることほど悲しいことはありません」と言います。プッチーニが最後の幕で、最初の幕の動機を振り返りながら、過去の幸せを対照させる手法は、このフランチェスカの独白を思い出させます。ラ・ボエームは、プッチーニのこのような公式が効果的に発揮された作品でした。


ユ・ユンジョン文化専門記者 gustav@donga.com