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野党の拒否権廃止は公捜処誕生の大義名分の破壊であり国民欺瞞だ

野党の拒否権廃止は公捜処誕生の大義名分の破壊であり国民欺瞞だ

Posted November. 20, 2020 09:30,   

Updated November. 20, 2020 09:30

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高位公職者犯罪捜査処(公捜処)処長推薦会の第3回会議で推薦が不発に終わると、与党「共に民主党」は野党の拒否権をなくす公捜処法改正を通じて年内発足を貫徹すると明らかにした。25日、法司委に改正案を上程して議決し、来月2日の本会議で通過させるという。3回の会議を開いて推薦が不発に終わったからと、公捜処制度の根幹である処長選出方式を変えてしまおうということだ。

同党は、秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官や同党が推薦した候補だけでなく、法院行政処長や大韓弁護士協会長が推薦した候補まで受け入れられなかったとし、推薦不発の責任を野党「国民の力」に転嫁した。しかし、公捜処をめぐる問題と論議のため、公捜処長を務める能力と中立性を備えた人物が推薦を受けることを拒否し、人材難が推薦過程で露わになった。紆余曲折の末、数人の候補が推薦されたが、果たして公捜処長に値する人物が推薦されたのか、推薦した側も振り返らなければならない。

初代公捜処長は、公捜処の検事と捜査官を選び、公捜処を構成する役割を担う。初代公捜処長が誰になるかによって、公捜処の性格が決定されるため、初代公捜処長の選定には慎重に慎重を期さなければならない。公捜処が、年内に発足しなければならない差し迫った理由はない。候補の中で与野党が合意する候補がいないなら、再推薦して与野党いずれも信頼する公捜処長を選べばいい。

 

先の第20代国会で与党が公捜処法を強行処理して掲げた大義名分が、野党に付与した拒否権だ。公捜処が政権勢力に隷属するという懸念が起こるたびに、与党は野党が賛成しなければ公捜処長は推薦されないため政権の意向に沿う人を任命することはできない構造だと何度も強調した。現在の公捜処制度は野党拒否権を前提に成立したのだ。

拒否権を明文化したのは、時間がかかっても意志決定の参加者が忍耐強く合意を引き出すという約束だ。野党が賛成しなければ、公捜処長を推薦できず、その過程が煩わしく、時間がかかっても、それが公捜処の政治的中立性・独立性を保証する最低限の装置であることは、民主党も知り、野党も知り、国民も承知している事実だ。今になってとぼけて公捜処に正当性を付与する最後の砦をなくすというのは二律背反に相違ない。

与党は、公捜処法が施行される前にすでに1度改悪した。検察や警察が高位公職者の不正情報を取得して捜査する場合、必ず公捜処に報告して、公捜処長が移牒を要求する場合、それに従うようにしたのだ。このような改正だけでも、捜査機関間の牽制が消え、公捜処法は当初国会を通過した時よりも大きな懸念をもたらしている。これに加えて野党の拒否権までなくすということは、公捜処存立の大義名分を破壊することであり、国民を欺瞞することだ。