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マーラーは分かっていた、今日の「危機」を

マーラーは分かっていた、今日の「危機」を

Posted March. 31, 2020 08:05,   

Updated March. 31, 2020 08:05

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国内外の演奏家のオンラインコンサートを紹介する「リビングでコンサート」のコーナーを毎週1回送ります。「リビングでコンサート」は、新型コロナウイルス感染の危険がなくなるまで続きます。困難の中で、芸術の魂を繰り広げるアーティストに激励をお願いします。

 

グスタフ・マーラー(1860~1911)の交響曲は、全世界のコンサートホールだけでなく音源サービスやユーチューブでもベートーベンと同等か、それを越える人気を得ている。ベートーベンの交響曲が理想の世界を描き出すなら、マーラーの交響曲は異常な世界を描くことが多い。表現主義文学とフロイトの精神分析学が意識の彼方の暗い世界を探求した19世紀の世紀末的なムードに合う。

マーラーの交響曲の中で第2番と第3番は大規模な合唱団とソロの声楽家が出てくる大きな規模を誇るが、第4番は最後の楽章ではソプラノのソロだけが出て、管弦楽の規模も大幅に小さくなる。第5番から第7番までは声楽がなくオーケストラだけが演奏する。

人気の高い第5番は、第4楽章にマーラーの妻アルマ・マーラーへのラブレターと言われる「アダージェット」がある。続く第5楽章は自然への賛歌で、のどかに曲を終える。しかし、この曲の前部は暗くて悲劇的だ。マーラーが手術を受けて過多出血で死を見通した経験が盛り込まれている。第6番は題名が「悲劇的」だ。英雄が闘争を経て破滅に至る姿が描かれる。

第5、6番に比べて第4番はモーツァルト的なのどかな感じだ。ドイツ民謡集から歌詞を持ってきた最後の楽章は、ソプラノが天国の様子を歌う。肉が必要なら、羊が自分の足で歩いてきて頭を突き出す。人間には天国だが、他の被造物にとってそうとは限らない。

指揮者レナード・バーンスタインをはじめ様々な音楽家は、マーラーの音楽に「傲慢になる人類に対する警告」が含まれていると指摘した。第1、2次世界大戦の惨禍をはじめとする文明の弊害を見通して音楽に形象化したということだ。人類が大きな危険に直面した今日、マーラーが描き出した異常世界の中に問題を解く端緒がないだろうか。

KBS交響楽団が新たにお目見えした「デジタルK-hall」では、前常任指揮者のオーエル・レビー氏が在職時に指揮したマーラー中期の交響曲の公演映像が公開される。来月1日に第4番、3日に第5番、6日に第6番「悲劇的」が続く。公開時間は午後8時。ユーチューブ検索ワード「KBS交響楽団」 www.youtube.com/channel/UCUqNn2bpiOC6JPhMcf6wRYw


ユ・ユンジョン記者 gustav@donga.com