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スーパーカンナエ

Posted March. 31, 2020 08:06,   

Updated March. 31, 2020 08:06

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戦争は悲劇で、戦闘は惨劇だ。勝者も敗者も、家族や友人を失い、人生と人間性に回復不能の傷を負う。このような悲劇を防止する方法は、戦争を未然に防ぐことだ。しかし、人類はまだその術を知らない。国際条約、国際機関、スーパーパワー、世界の警察、このすべての試みは半分の成功も収めることができなかった。軍備縮小、兵器廃棄、軍隊解散、世界革命が確実な方法だと主張する人もいるが、いくら肯定的に考えても、それは戦争を防止するどころか誘発要因になる。

 

戦争を避けることができないなら、被害を最小化しようという冷静な現実主義もある。その方法は、戦争を最大限短く終わらせることだ。開戦早々に大規模な会戦を行い、敵を一気にせん滅する。残酷な解決策だが、これが最善だと話す。このような主張をする戦術家に理想的なモデルがハンニバルのカンナエの戦いだ。紀元前216年8月2日、今はオリーブ木が生い茂るイタリア南部の平原で、カルタゴの名将ハンニバルは2倍近いローマ軍をせん滅した。ローマ軍8万の歩兵と6千~7千人の騎兵のうち5万~7万人が死亡し、1万1千人が捕虜になった。この戦闘の生存者は後方に待機した若干の予備兵力だけだった。

「スーパーカンナエ」。せん滅戦支持者は、自分たちの解決策をこのように呼んだ。迫る戦争に備えるには、スーパーカンナエを研究しなければならないと言う。カンナエの戦いを理論化し、軍事学者と軍人の間に長い理論論争も起こった。せん滅戦理論が正当かどうかを離れ、スーパーカンナエを保障する戦術はないと主張する人もいる。カンナエの戦いをせん滅戦にした立役者は、ローマ軍の指揮官テレンティウス・ウァロだ。敵の指揮官が愚かで味方を助けない以上、このようなせん滅戦は不可能ということだ。戦争史を見れば、世紀の勝利の背後には常に敵の愚かな行動がある。韓国の保守と呼ばれる人々を見ていると、この言葉が正確に合うようだ。無責任、愚かさ、利己主義、たった1人のウァロのためにローマは壊滅的打撃を受けたが、私たちは数えることもできない。

歴史学者