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ヌリベイの箱

Posted March. 25, 2020 08:10,   

Updated March. 25, 2020 08:10

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寓話には、思っている以上に深い知恵が入っている。スーフィー(イスラム神秘主義)の修道士たちの間で長い間伝承されてきた寓話を集めて出したインド出身の作家イドリス・シャー、彼の寓話に出てくる夫婦の物語もそうだ。

ヌリベイは、考えが深く尊敬されるアルバニア人だった。彼の妻は、彼よりはるかに年下だった。ある日の夕方、召し使いが彼のところに来て、奥様がどこか怪しいと話した。「ご主人様のおばあさまのものだった大きな箱に過度にこだわっているのがとても怪しい」ということだった。「一人の男が入ってもおかしくないほど」大きな箱だが、その中を見せてもらえないという。彼はその言葉を聞いて、妻の部屋に行った。妻は箱の隣に座っていた。彼は、その中に何が入っているかと尋ねた。すると妻は、召し使いの疑いのためにそうなのか、それとも自分を信頼できないからそうなのかと尋ねた。彼は、そう言わずにカギを開けて中を見せてほしいと言った。すると妻は、召し使いを外に出せば、鍵を渡すから直接開けてみるようにと言った。彼が召し使いを外に出すと、彼女は鍵を渡して退いた。彼は長い間考え込んだ。そして四人の庭師を夜中に呼んで、遠く離れた庭に箱を埋めさせた。開けないことに決めたのだ。以来、彼はその問題を口にしなかった。

鍵までもらったから、彼は箱を開くのは簡単なことだったのだろう。しかし、箱を開けることは召し使いの言葉に振り回されて、妻を信頼しない行為だった。ただでさえ、夫が自分を疑ったことで傷ついた妻は、さらに大きく傷つけられるはずだった。彼は自分の好奇心を抑えて、妻の秘密を彼女だけのものとして残すことにした。

数百年前のイスラム神秘主義の師匠らは、弟子たちにこのような話を聞かせて、生活の知恵と倫理を悟らせた。重要なのは箱の中に何が入っているのかではなく、先入観なしに相手を受け入れる気持ちだ。箱は侵害してはならない「自分だけの部屋」のメタファーと言える。