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マンハッタンのキム社長の「コロナ奮闘記」

マンハッタンのキム社長の「コロナ奮闘記」

Posted March. 21, 2020 08:05,   

Updated March. 21, 2020 08:05

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新型コロナウイルスの感染者が4千人に迫る米ニューヨーク市の日常は事実上、止まった。レストランやバーの閉鎖命令が下された16日(現地時間)午後8時以降、マンハッタンの都心では人影が途絶えている。ニューヨーク州のクオモ知事は18日、一般の店や企業も職員を半分だけ出勤させ、19日には25%だけ出勤させるよう指示した。

ラッシュアワーに混雑する「地獄鉄」で悪名高いニューヨーク地下鉄とバスを運営するニューヨークのメトロポリタン・トランスポーテーション・オーソリティ(MTA)は、利用客が6割減ると、40億ドルの連邦救済金融を申請している。道行く人の温情によって冬を越したホームレスも街を徘徊して苦しい時を経験している。ある海外同胞は、「9・11テロの時より苛酷な景気低迷が来そうだ」と心配した。

 

日常の時間が止まったようなニューヨーク都心の韓国人「社長」は、職場を守るために孤軍奮闘している。マンハッタン32番街のコリアタウンの韓国料理レストランは、営業制限措置の中、許された配達とテイクアウトの料理を利用して「サバイバルメニュー」を開発している。韓国料理レストラン「クンチプ」と「ウォンジョ」は、共同で配達している。「サムウォンガーデン」は、肉やサンチュなどの食材を密閉容器に入れ、作った人の名前と体温を書き、手の消毒液を入れて配達する「ケア・パッケージ」も開発した。

ニューヨークの韓国系旅行会社タミスのキム・ワンギョ社長(42)は、観光客の足が急に途絶えたオフィスに毎日出勤する。先月の売り上げが前年対比7割減った。今月には売り上げがマイナスになった。新規予約はほとんどなく、取り消しや払い戻しの要求が多いため、入ってくるより出ていく金のほうが多い。30代後半に独立して築いた事業と約20人の職員の生計が絶壁に立たされた気分だった。

キム社長は19日、職場と職員を守るためにこれまで準備していた「1段階非常計画」を稼動した。まず、インターン職員は状況が再び良くなれば、さらに一日仕事をするという条件で有給休暇を与えた。チーム長クラスの職員は出勤し、残りの職員は在宅勤務をすることにした。キム社長は、「一日一日がどのように変わるか分からないので、プランBでなくプランZまで準備しなければならない状況だ」と話した。

キム社長が空っぽのオフィスですることは、新型コロナウイルスの感染が収束すると期待される下半期以降の新事業を組むことだ。特に、韓国、日本およびアジア市場中心から他地域の観光客に市場を多角化する戦略を準備している。特定地域の売り上げが急減しても、他地域で挽回できる事業ポートフォリオが切実と感じたためだ。

 

キム社長が準備した1段階非常計画は5月まで。彼は何より最近、トランプ米大統領が出した1兆3千億ドルの景気刺激策が一日も早く議会を通過してほしいと望んでいる。また、企業と職員が半々負担する給与税も一時免除すると良いと強調した。キム社長は、「売り上げがない状況で1ヵ月2万ドル近い給与税を払えということは職員を解雇しろということ」と訴えた。

キム社長はトランプ氏が、「チャイナウイルス」と話すたびに、胸が締めつけられる思いがするとも話した。生計が行き詰った市民のストレスと怒りが特定の方向に向かう時、どのようなことが起こるか恐れるためだ。15年のMERS事態など様々な危機を経験して何度も底を見たが、このように顧客が急に途絶えたのは初めてだ。キム社長は「すべての危機は初めて適応する時が最も苦しい。『春』が来るまで無条件、持ちこたえる」と話した。200万の韓国人移民社会の心も同じだろう。