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米国の国内外で広がるチャイナバッシング、複雑なグローバル外交方程式

米国の国内外で広がるチャイナバッシング、複雑なグローバル外交方程式

Posted December. 16, 2019 08:08,   

Updated December. 16, 2019 08:08

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ワシントンのある中堅法律事務所で働いているP弁護士には、最近中国人からの依頼がめっきり増えている。米国内の中国科学者たちが米政府から監視を受け、釈然としない理由で活動を制限されているという。法的対応をしてくれる彼は、「中国の科学者たちに、米国情報要員がほとんど一対一でついて密着監視する雰囲気だ」とし、「米中関係が悪化したことで、仕事が増えていい」と話した。

「まさか、民間分野の学者たちまでに、あれほど緻密に管理するだろうか…」と気になったが、開き直るP弁護士の表情を見ると、間違ってはいないようだった。ファーウェイの事例から分かるように、中国の技術覇権を牽制しようとするドナルド・トランプ政権の動きは、すでに全方位に拡張する空気となっている。米国の「中国バッシング(China bashing)」が、ワシントン外交安保分野の明確な流れだということも否めない。

中国を事実上「敵対国」として狙ったホワイトハウスと国務部高官の発言はますます強まっている。最近、香港デモと関連して、中国の人権状況を問題視する内容が多くなった。マイク・ポンペイオ国務長官は先月、ドイツ・ベルリンの壁30周年を記念して行われた演説ですら「中国共産党が国民を抑圧している」と中国を批判した。旧東ドイツに続き、中国まで共産主義の問題点を指摘する形だったが、「1989年の教訓:自由と私たちの未来」というタイトルの講演趣旨とは関連性が低くく見えた。

今年で70周年を迎えた北大西洋条約機構(NATO)が、今月初めのサミット声明で中国を狙ったことも尋常ではない。中国のアフリカ攻略とサイバー活動、軍事力増強などが欧州にも新たな挑戦になりかねないという論理だが、地球の向かい側の中国をターゲットにしたのは、やや突飛と言える。NATOの大物加盟国である米国の影がちらつく。米国の積極的な対中戦略が輸出されるという感じというか。

中国研究を強めているシンクタンクも多くなっている。戦略国際問題研究所(CSIS)は、分野別に中国を研究するチームだけでも4つ作った。今月に入って「中国の浮上とグローバル秩序」「中国の人権問題と米国対応」「中国の政治的、宗教的人権問題」など、中国をテーマにしたセミナーが相次いで開かれた。いざ現場に行ってみると、中国人はほとんどおらず、地元学界とメディアの関係者と香港、台湾、韓国などの外信記者らでにぎわう。中国人は牽制雰囲気があまりにも強くなっているせいか、なかなか顔を出せない空気となっている。

米国が12日、中国との第1段階の貿易合意を妥結したことで、米中間の緊張感がやや和らぐような気がする。しかし、知的財産権など、はるかに厳しい内容を扱う第2段階交渉が残っている。しばらくの見合わせに過ぎず、米中関係が良くなるだろうと期待している空気はなかなか見つけられない。

中国は米国外交安保政策の変数ではなく定数になってすでに久しい。このような衝突の中で、北京の反発はさらに激しくなっており、これによる北東アジアの情勢はより不安定になっている。来年は、「新しい道」を予告した北朝鮮問題まで含まれれば、米中の間で解決すべき外交関数もさらに複雑になる。もう中国自体はもとより、米国の対中政策と戦略についてのより多くの分析や研究が必要な時間が近づいている。


ワシントン=イ・ジョンウン特派員 lightee@donga.com