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冬の雨に閉じ込められたゴーギャンとゴッホ

冬の雨に閉じ込められたゴーギャンとゴッホ

Posted November. 30, 2019 09:22,   

Updated November. 30, 2019 09:22

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天候のために家の中に閉じ込められることになれば、息苦しさはもちろんのこと、人と一緒に過ごす時間が長くなるほど、予期せぬ対立と苦しみに直面することになる。最も近いと思っていた友人や、さらには家族までが急な環境の変化で、同じ空間で過ごすと、慣れない状況と見知らぬ姿で互いぶつかり、たびたび傷つけたりする。

私たちは生きながら大雨に閉じ込められたり、大雪で身動きが取れなかったりする。最近では、粒子状物質が私達の足を引っ張る。もうすぐ冬が本格的に始まる12月なのに、いつからか私たちは寒さよりも粒子状物質のための野外活動が困難な冬をさらに心配することになった。

天気に閉じ込められた状況で、賢く生活する知恵を示唆する2つの対立するエピソードがある。

後期印象派の代表的画家であるゴーギャンとゴッホは1888年の冬、フランス南部のアルルにある「黄色い家」と呼ばれた作業室で、二ヶ月間一緒に生活したことがある。画家たちの共同体を作って一緒に創作し、生活することを夢見てきたゴッホは、普段尊敬していたゴーギャンを自分の作業室に招待した。南フランスの都市アルルは、1年に300日以上太陽が灼熱するところだったが、彼らが一緒に生活した11月初めから12月23日の間は、なんと20日以上も雨が降った。冬の雨に閉じ込められた彼らは、作業室で一緒に作業に没頭しながら、お互いの姿を描いたり、自画像を捧げたりしたが、徐々にお互いの作品に干渉しながら、対立の溝が深まった。特にそのきっかけとなったのは、ゴーギャンが描いた「ひまわりを描くゴッホ」についてゴッホが非難を浴びせかけたことで、二人の関係は取り返しのつかないことにまで悪化した。ついにゴッホは、かみそりで自分の左耳を切り落とす発作を起こした。

英国の代表的ロマン派詩人であるバイロンとシェリーは、1816年の夏、スイス・ジュネーブの「ディオダディィ荘」で一緒に過ごした。その年の夏は冬の天候のようだったし、冷たい冬の雨が絶えず降り、彼らは別荘に閉じ込められる。一行には、バイロンの主治医のジョン・ポリドリ、シェリーの妻のメアリーがいたが、バイロンは彼らに怪奇小説を書くことを提案する。彼らは、お互いに干渉するよりは、自分の作品世界に没入した。ゴーギャンとゴッホがお互いに直接向かい合って人格の素顔を見せたなら、バイロンとシェリー一行は、それぞれの作品を通して間接的に交感しながら、お互いの人間性と感情が直接ぶつかることを避けた。不気味な天気の中に閉じ込められて、彼らが作り出した作品は、後日ドラキュラ伯爵、フランケンシュタインなどに発展して、世界に知られるようになる。

粒子状物質がうつ病と自殺の原因になりかねないという研究結果が発表されている。うつ病に働く粒子状物質の医学的メカニズムはともかくとしても、粒子状物質のために家の中で留まることで起きる人々の間の対立関係では、賢明な知恵が必要な季節である。国の気候環境会議は11日、「粒子状物質を巡る国民参加行動勧告」を通じて、粒子状物質が「悪い状態」(1立方メートルあたり36〜75μg)であっても、通常の野外活動をすることを勧告しているので、粒子状物質にもかかわらず、活発な通常の生活を維持することが良いだろう。


キム・ソンギョン記者 tjdrud0306@donga.com