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「金剛山、みすぼらしい」と言う金正恩氏、それは韓国の責任なのか

「金剛山、みすぼらしい」と言う金正恩氏、それは韓国の責任なのか

Posted November. 22, 2019 08:41,   

Updated November. 22, 2019 08:41

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実際、かなり老朽化している。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が「みすぼらしい」と言った金剛山(クムガンサン)内の施設のことだ。

昨年、離散家族再会の取材のために訪れた金剛山観光地区の施設は色あせてみすぼらしかった。臨時レストランに使われた温井閣(オンジョンガク)前の木のデッキは所々穴があき、足がはまるか注意しなければならなかった。別れの対面会場の金剛山ホテルの外壁のペンキははがれ、かびが生えていた。道路には割れたコンクリートの破片が散らばっていた。

再会前に急きょ補修された離散家族面会場の1、2階はましだった。しかし、非常口の階段はかび臭かった。地下の汚物は汲み出したものの、下から上がってくる腐った臭いは隠せなかったのだ。金剛山観光が始まって20年、韓国観光客の足が途絶え10年余りが経過し、施設は廃墟になりつつあった。

正恩氏の発言もそのために出たのだろう。正恩氏は、韓国側施設を「すべて取りはらえ」と言った。このような北朝鮮の態度は簡単に変わりそうにない。正恩氏は先月、白馬に乗って白頭山(ペクトゥサン)に登った後、「雄大な作戦」を予告したが、北朝鮮メディアは金剛山施設の撤去および北朝鮮式再開発を「雄大な措置」と宣伝している。

政府は、金剛山内の韓国施設を撤去するという正恩氏の決定に対して、適切な解決策を見出せずにいる。「ひとまず会って話そう」と打診しても、北朝鮮は拒否している。撤去関連の最後通告状まで送られた状況だ。米国に圧力をかけるために金剛山施設の一部を撤去する可能性は排除できないという声も出ている。一触即発の状況だ。

一方、南北間協議の内容はあまり知られていない。政府が交渉を非公開に切り替えたためだ。交渉に不利な影響を及ぼしかねないというのが政府の判断だ。しかし、昨年の南北交流を詳細に公開した政府が、停滞局面になるや北朝鮮に関する情報に口を閉ざしたと指摘されている。

今からでも政府は、金剛山をめぐって立場を明らかにしなければならないことがある。施設の老朽化の責任が南と北のどちらにあるのかということだ。北朝鮮は韓国が米国の顔色をうかがって事業を再開せず、莫大な損害まで被ったと主張している。韓国側施設を撤去した際の韓国の補償要求には応じないためのムードづくりだ。

しかし、一つ明らかなことは、施設老朽化の原因である金剛山観光の中止は北朝鮮にある。金剛山観光は、2008年の観光客パク・ワンジャさん殺害事件で中止になった。その後も、北朝鮮の核とミサイル開発による国際社会の憂慮と対北朝鮮制裁で再開されていない。しかし、政府のどこからもこのような指摘を聞くことはできない。こうした中、金錬鉄(キム・ヨンチョル)統一部長官はワシントンに行き、「変化した条件と環境を考慮して、金剛山観光の再開と活性化を積極的に推進する」と述べた。

現代峨山(ヒョンデアサン)は金剛山に事業権の代価と施設投資で計7670億ウォンを投資し、政府も598億6千万ウォンを投じた。しかし、北朝鮮は「資格を喪失した」とし、韓国の金剛山の権利を否定している。政府は、韓国企業の財産権を保障するためにも、税金を無駄に使ったという批判を避けるためにも、北朝鮮に観光中止と施設老朽化の責任を問わなければならない。観光再開の議論はその後にしても遅くない。


黃仁贊 hic@donga.com