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トランプ氏まで焦り、非核化は消えてイベントだけ残すのか

トランプ氏まで焦り、非核化は消えてイベントだけ残すのか

Posted November. 19, 2019 08:30,   

Updated November. 19, 2019 08:30

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トランプ米大統領が17日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対して、「私はあなたをあるべきところに導くことができる唯一の人物だ。迅速に行動し、交渉をまとめるべきだ」と主張した。また、時期を特定せず「近いうちに会おう」とし、3回目の米朝首脳会談の可能性も示唆した。韓米国防長官がタイで合同空軍演習の延期を発表して10時間後にツイッターに投稿された内容だ。

トランプ氏の呼びかけに正恩氏は即答していないが、先月初めストックホルムでの決裂で停滞している米朝実務協議は、遠からず再開されるだろう。米朝は最近、メッセージも交換した。北朝鮮が、合同軍事演習を非難すると、米国は「調整可能」というメッセージを送り、これを北朝鮮が評価すると、米国は演習延期の発表で応えた。そしてトランプ氏が直接対話を促したのだ。

まるで米国は怒った北朝鮮をなだめ、北朝鮮はやむを得ず応えるという恰好だ。実際、米国内の政治を見ると、議会の弾劾公聴会と相次ぐ地方選挙の敗北でコーナーに追い込まれたトランプ氏が北朝鮮との外交イベントに関心を向けさせようとするのではないかという疑念を抱かれても仕方のない状況だ。一方、北朝鮮は意気揚々としている。正恩氏は相次いで軍視察をし、「戦争準備」を注文する一方、寧辺(ヨンビョン)核施設には特殊軌道車両が登場し、挑発の動きを演出している。

北朝鮮は対米要求を高めている。韓米の合同軍事演習の延期発表が出た直後、外務省談話を通じて、米国の敵対視政策の撤回が核問題よりも優先的だと主張した。北朝鮮が主張する「敵対視政策の撤回」とは体制の安全と制裁解除を意味する。それには欧米の基準で北朝鮮人権を問題視するなという脅迫も含まれている。韓国政府が国連の北朝鮮人権決議案の共同提案国から突然外れた背景には、このような北朝鮮の反発があるのだろう。

米国は、ひとまず危機を阻止して北朝鮮を交渉のテーブルに座らせようという考えだが、対話にしがみついて引きずられる形では、正しい非核化協議は期待できない。対話による核問題の解決は最も望ましい解決策だ。しかし、核解決は消えて対話そのものが目的になる本末転倒の「政治ショー」に流れるなら、それは危機を後回しにして一層大きくするだけだ。