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女性が痛いのはヒステリーのため?医師はなぜそう診断するのだろう

女性が痛いのはヒステリーのため?医師はなぜそう診断するのだろう

Posted November. 02, 2019 09:06,   

Updated November. 02, 2019 09:06

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患者を対象にしたとあるアンケートによると、女性は体重を減らすべきだという勧告を、医療スタッフから男性よりも多く受ける。実質的な痛みや身体症状を訴えても、医療スタッフがうつ病やストレスなどの心因性と見て、ヒステリーのようなとんでもない診断を下すことも、患者が女性のときがはるかに頻繁に起こるという。

著者は、診断や医療分野で性別への偏見が数百年間及ぼしてきた害悪を一つ一つ名指す。19世紀半ばに婦人科と呼ばれる新しい専攻分野が出現してから、女性医学はほかならぬ生殖器医学を指すようになったと指摘する。20世紀になるまで、米国だけで約15万件の卵巣摘出術が行われた。

医療スタッフや医学教授のほとんどが男性である状況で、無理解の溝はなかなか解消されない。女性のアイデンティティに人種・社会的偏見が加われば、事態はより深刻になる。有色人種の女性は麻薬中毒者、教育水準の高い白人女性は心気症患者とみなされるのが常だという。これらの偏見は、診断と治療に莫大な損失を与えている。

緊急治療室で腹痛の治療を受けるまで、男性は49分、女性は65分がかかる。心臓発作を起こした若い女性は、家に戻される確率が男性に比べて7倍も高い。著者は数十年間、現代医学が採用した唯一のモデルは、体重70キロの白人男性に合わされていると一喝する。腹痛を月経痛で片付けるか、ホルモンの影響を強調して、誤った診断が下されるという。

様々な統計や医療スタッフと患者に対する広範なインタビューを通じて、衝撃的な事実をぎっしりと盛り込んだ。

ただ、一般的な読者が読むには、医学用語や様々な数値が過度に細かい。540ページという分量も負担になりかねない。医師、または医療や様々な科学を勉強したい人には、当該分野で性別に関する先入観がどれほど深い害悪を及ぼすことができるか、膝を打ちながら探る良い教科書になると思う。


イム・ヒユン記者 imi@donga.com