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スパルタのノー

Posted October. 22, 2019 08:40,   

Updated October. 22, 2019 08:40

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欧州踏査など夢を見ることすらできなかった時代、とある西洋史の専攻者にスパルタに行ったことがあるかと尋ねた。帰ってきた答えは、「行く必要がない」だった。アテネには、遺跡がたくさん残っているが、スパルタには何もないという。観光客の基準で見ると、何もない。スパルタのアルテミス神殿は跡地だけが残っており、鉄条網が張り巡らされている。アゴラは、オリーブの木の森の中にいくつかの石だけが残っている。

現在のスパルタ市は、19世紀に再建されたものだ。中世にすぐそばにあるミストラスが繁盛したので、スパルタは見る影もない農村に変わったが、古い評判に支えられて劇的に復活した。紀元前5世紀の全盛期も、スパルタは華やかさとは程遠い兵営の都市だった。若者たちは、兵舎のような寮で、硬いパンと豚の血が混じった黒いスープを飲んだ。

だからその時代にここを訪れても、スパルタは無味乾燥とした都市だったのだろう。スパルタ人たちは、なぜこんな暮らしたのだろうか?歴史は、彼らよりも数倍は多いヘイロタイを支配しなければならなかったからだという。ここに直接来てみると、一つの理由がさらに見える。スパルタ市は、平らな平原の真ん中にある。アテネだけを見ても、アクロポリスは素晴らしい要塞だ。ここにはそんなところがない。近くに天恵の要塞であるミストラスがあるが、スパルタ人たちはそんなところに住むことを拒否した。平原に都市を建て、周辺を支配するためには、彼らは強くならなければならなかった。

これがスパルタ式教育と訓練の原因だ。それでも地形や要塞の助けを受けるほうがよかったのではなかったのだろうか?スパルタ人は、そのようなことは精神を弱くすると考えていたようだ。闘志と勇気のない者に、先端武器、天恵の要塞などは何の役にも立たないという。

いくら最新武器を保有している軍隊といっても、勇気と闘志が欠けていれば戦って勝利することができない。たとえ最先端の技術を保有したとしても、戦士の叫びは「私たちは、あなたより良い武器を持っている」のではなく、「私達は戦士だ」でなければならない。それは昔も今も、目の保養になるものは無視するスパルタが、訪問者に与える教訓ではないだろうか?