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叫びのアイコン

Posted September. 26, 2019 08:40,   

Updated September. 26, 2019 08:40

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赤い夕焼けを背景にスカル(骸骨)のような人が両耳をふさいで悲鳴を上げる様子。ここまで説明しても「なるほど」と一気に思い浮かぶ絵がある。まさにエドヴァルド・ムンクの「叫び」だ。この絵は、広告、映画、テレビ、現代美術などで数えきれないほどパロディや複製され、「叫びのアイコン」となった。このノルウェー画家の絵が、世代と国境を越えて広く愛される理由は何だろうか。

死、病気、不安、恐怖。子供の頃からムンクは、この4つの言葉に非常に馴染んでいた。5歳の時に母が死んだ後、13歳の時に姉も失った。父は強圧的で、妹と自分には精神疾患があった。逆説的にも子供の頃の不幸は後日、彼の芸術の主題であり、原動力となった。生涯を孤独の中に生きたムンクにとって、芸術は不安を振り払うための苦闘であり、唯一の治癒剤だった。

彼は対象を観察して描くのではなく、自分が見たことを覚えて描いた。叫びも、オスロ・エーケベルグの丘の遊歩道から見た夕焼けの記憶を描いたものだ。

「夕暮れの頃、私は友人二人と一緒に道を歩いていた。突然空が血の色の赤に変わった。その時、私は自然の悲鳴を聞いた」。彼が日記に書いた文である。だから絵の中の主人公は、画家自身だったのだ。シンプルな形と強烈な色彩、歪んで誇張された風景や人物を通して、画家は世紀末の人間の孤独と恐怖、苦痛と悲劇を表現したかったのだ。しかし当時、この絵を理解する人はごく少数で、評論家でさえ、「絵に対する冒涜だ」と批判した。ムンクが表現主義の創始者という名声を得たのは、後日のことだ。

人間は大変驚いたり苦しんだり、怒ったり恐怖を感じた時に悲鳴をあげる。生きていれば誰でも感じることのできるこの極限の感情状態を、ムンクのように完璧に表現した画家が彼の他にいるだろうか。この絵が依然として響きを与えるのは、現代人が感じる痛みと怒り、恐怖と狂気が、彼は生きた100年前に比べて決して劣らないからだろう。