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「ピンを差しままま打つ」ゴルフ新ルールの功罪

「ピンを差しままま打つ」ゴルフ新ルールの功罪

Posted May. 24, 2019 09:47,   

Updated May. 24, 2019 09:47

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「今は竿を立てたままパットしても良いんですね?」

首都圏のゴルフ場でキャディーとして働くAさん(54)が、最近終末ゴルファーたちから一番多く聞かれる質問だ。以前はグリーンの上で竿を立てたままパットを打ってボールが竿に当たると2罰打が与えられたが、今季からはルールが改正され、ゴルファーが希望すれば竿を抜かないでパットを打つことができる。Aさんは、「多くの週末ゴルファーの悩みはパット能力の向上だ。このため、新ルールが解決策になると期待して、ピンを抜かないでパットを打つ人が増え続けている」と話した。

グリーンの上に立っているピンは、ショートゲームの勝利を呼び込む「特別な助っ人」になるのだろうか。

今季の米女子ツアー(LPGA)で2勝を挙げているコ・ジンヨン(24)は、「ピンを立てたままのパット」礼賛者だ。昨季にパーオンした時の平均パット数が1.78で23位だったが、ピンを差したままパットができるようになった今季は1.73で1位に立っている。コ・ジンヨンは、「ピンが視覚的にターゲットになってくれる。(パット)ラインが良く見えるのでボールを正確にカップに送ることができる」と話した。韓国体育大学ゴルフ部のパク・ヨンミン教授は、「カップはグリーンの地面にあるのではっきり見えにくい。しかしピンは、その上の立っているので、距離の測定と方向を読むのに役立つ」と説明した。

韓国女子プロゴルフ(KLPGA)ツアー新人王ポイントで1位を疾走しているチョ・アヨン(19)は、ピンが下り坂でのパットなどでブロックになってくれると言う。「ボールを少し強く打っても、ピンが止めてくれるという心理的な安定感が生まれる。実際の試合でも多少強く打ったパットがピンに当たってカップに入ったことがある」と話した。

長距離パットでボールを強く打つ時は、「ピン差しパット」が効率的という分析もある。ヨーロピアンツアーで活躍しているエドアルド・モリナリ(38=イタリア)は、「強いパットを打つ時はピンを差した方が有利だ」と主張した。モリナリは今年1月にピン差しパットをテストした。まず、ピンを差したままの時と抜いた時とに分けた。パットの強さを「強」(ボールが少し跳ねるほど程度)、「中」(ボールがカップの壁面を打つ程度)、「弱」(ボールがカップの中央に落ちる程度)に分けて、それぞれの条件で100回ずつパットをした。実験の結果、カップ中央に向かって強くパットを打った時、ピンが立っていると100%カップに沈んだ。反面、ピンを抜いた時は成功率が81%に下がった。遠距離から強いパットを打つ時、ピンの緩衝効果で得をすることが考えられるという。

ピン差しパットはプレー時間の短縮にも効果的だ。韓国プロゴルフ(KPGA)ツアーで活躍しているホ・インフェ(32)は、「ピンを抜いては、また差す過程で時間がかかり、プレーのリズムが切れることもありがりだが、ピンを差してパットを打つとプレー時間を短縮するのに役立つ。またピンを抜くために(キャディーなどが)対戦相手のパットラインを踏む問題もなくなる」と話した。

しかし、すべてのプロゴルファーがピン差しパットをしているのではない。ピンに気を取られ、従来のパットルーティンが乱れたり、ボールがピンに当たって跳ねることへの不安があるからだ。KLPGAツアーで活躍しているチャン・ハナ(27)は、「長距離パットでなければ、ピン差しパットはしない。長年やってきた方式じゃないので、視覚的に邪魔になる感じがある」と語った。

強く打つ長距離パットと違って、短いパットではピン差しパットが毒になるという見解もある。米国のゴルフダイジェストは、ポリテクニック州立大学のゴルフチームと実験を行った。約1.4メートルからピンを差した時と抜いた時とで、60回ずつのパットを打った結果、ピン差しの時にボールがピンの中央に当たらなければカップインの成功率は45%に過ぎなかった。一方、ピンを抜いた時の成功率は90%だった。キム・ジェヨルSBS解説委員は、「短い距離から力の加減に失敗して強く打って、同時にピンの中央に当たらないとボールのピンの横に当たって跳ねてしまい、カップの横に進んでしまいかねない」と話した。ゴルフダイジェストは、気象状況も影響要因の一つになると指摘した。「風が強いとピンが揺れてボールが入れる穴が狭くなる。この場合は、安全にピンを抜いてパットを打つ方が有利だ」とアドバイスした。


鄭允喆 trigger@donga.com