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千里眼1号の海洋観測データで「韓半島の地球温暖化影響」研究開始

千里眼1号の海洋観測データで「韓半島の地球温暖化影響」研究開始

Posted May. 10, 2019 08:47,   

Updated May. 10, 2019 08:47

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国内初の静止軌道衛星「千里眼1号」が10年間収集した海洋観測データを活用して、韓半島周辺の地球温暖化の影響を把握する研究が本格的に始まる。地表ではなく宇宙でプランクトンの変化を長期間観測し、海洋の二酸化炭素吸収能力の変化を分析して、気候変動の要因をさぐる計画だ。2010年6月に発射された千里眼1号は、韓半島の3万5800キロ上空にとどまり、気象予測や海洋監視、通信実験を行っている。韓国海洋科学技術院海洋衛星センターのユ・ジュヒョン・チーム長は9日、千里眼の核心搭載体である「海洋観測搭載体(GOCI)」が収集したデータを活用した研究に着手すると明らかにした。

千里眼1号に搭載されたGOCIは、韓半島を中心に横2500キロ、縦2500キロの領域の海洋を毎日午前9時から午後4時まで1日8回観察している。横500メートル、縦500メートルを一度に認識する。GOCIが感知できる光は8つの波長帯の光で、可視光線領域6つ、近赤外線領域2つだ。可視光線領域では、植物性プランクトンが持つ葉緑素(クロロフィル-a)、溶存有機物などが持つ固有の光を観測する。

ユ氏は、「10年間累積したデータ資料を分析して、地球温暖化に影響を及ぼす海洋研究を進める」とし、「海水の温度が上昇すれば植物性プランクトンが増えるが、これを1週間単位で算出し、1年間の変化を分析する計画だ」と明らかにした。

海水の二酸化炭素の吸収能力は、地球温暖化に大きな影響を及ぼす。海洋植物プランクトンは、光合成で大気中の二酸化炭素を吸収し、温室効果ガスの濃度を下げる。植物性プランクトンが生産した有機物は、海洋の表層で微生物によって分解され、二酸化炭素を大気中に放出したり深海底に運んだりする。

ユ氏は、「地球は陸地、海洋、大気が密接に相互作用する惑星システム」とし、「特に地球が直面した最大の問題である地球温暖化は、大気と海洋、深海底につながる炭素の循環に左右される」と強調した。

千里眼1号に搭載されたGOCIは、1年に約40TB(テラバイト)にのぼる観測データを生成している。現在まで確保された海洋観測データだけで約2PB(ペタバイト・1PBは1千TB)にのぼる。

研究チームが10年間のデータを分析した結果、韓半島周辺の海水温度が上昇し、「アカモク」が増えたことが分かった。アカモクは熱帯性海草類で、漁船の航海や操業に支障を与え、海岸の景観を損ねる。研究チームによると、2010年にGOCIが撮影した写真では見られなかったアカモクが、2015年を基に毎年、南海岸と済州(チェジュ)地域の海岸で観察された。韓半島も地球温暖化にともなう海水温度上昇の例外地域ではないということが確認されたのだ。

千里眼1号は、自転と同じ速度で地球の周辺を回るので、同じ位置にとどまっているように見える。韓半島の上空にとどまって、周辺海洋の様々な環境をリアルタイムで観測できる理由だ。ユ氏は2012年、海にゴミを無断投機する船舶をGOCIを使って捕らえることに成功した。液体の投機物が海水面に広がる様子をリアルタイムで観測した結果だ。ユ氏は、「毎時間GOCIが当時の様子を撮影し、まるで映像のように航跡を知ることができた」と説明した。

千里眼1号は、設計寿命7年を超え、2020年4月まで運営される予定だ。千里眼1号からバトンを受け継いだ千里眼2A号は昨年12月5日、南米フランス領ギアナのクールー宇宙センターで発射された。千里眼2A号の双子衛星である2B号は発射が来年に延期された。


コ・ジェウォン記者 jawon1212@donga.com