Go to contents

憤怒調節障害

Posted June. 20, 2017 09:23,   

Updated June. 20, 2017 09:23

한국어

「お前のおやじは何しとんの?」。2001年に公開された映画「チング(友人)」で、教師が高校生だった主人公「トンス」と「チュンソク」を殴りつけて投げかけた質問だ。トンスの父親は葬儀屋であり、チュンソクの父は、元暴力団のボスだ。二人ともになかなか素直に答えられない仕事である。トンスはむち打ちの罰を素直に受け入れるが、チュンソクは倒れたまま足蹴りまでされると立ち上がって、教師と一戦を交えようとする。生徒たちにやたらと暴力をふるう教師と、それでも最後はじっと我慢するチュンソクのうち、どちらが感情調節能力が優れているのだろうか。

◆憤りを我慢できないのは、生物学的要因かもしれないし、耐え難い社会生活のストレスや不満のせいかもしれない。二つの要素をきちんとわきまえて原因を診断するのは容易ではない。ただ、「怒りの犯罪」がかなり多いということだけは明らかだ。警察庁の「2015年の統計年報」によると、傷害や暴行などの暴力犯罪37万2723件のうち、動機が偶発的か現実に不満のある割合が41.3%もあった。殺人や殺人未遂などの重罪975件のうち、同じ理由で起きた割合も41.3%だった。

◆インターネット修理技士が殺された事件や外壁塗装作業者の墜落死、指導教授を相手にした手作り爆弾テロなど、最近相次いで起きた事件は、すべて憤怒調節障害(間欠的爆発調節障害)犯罪に分類できる。被害者はその大半が社会的弱者層に属する。過度な競争が日常化され、親切を強調するサービス業の従事者が増えることにより、感情労働に苦しんだ末爆発する事例もしばしば起こる。路上でお金を出してもらって気が済むまで殴られることを職業とする人など、制度的「怒りの排出口」でも用意しなければ、という気さえする。

◆幾つもの大手企業では、2000年代初頭から、会社内外に相談センターを設け、社員の憤怒が爆発する前に鎮めている。家族や職場で芽生えた些細な怒りが、取り返しのつかない結果を生む前になだめているのである。国民一人一人が自ら感情を調節する努力をしなければならないことは言うまでもない。しかし、憤りを引き起こす不合理な社会構造は、政治が解決しなければならない。ところが、大統領府と与野党はお互い自分だけが正しいと主張するだけで、この急な事案にはあまり関心がないようで、怒りが生じる。