Go to contents

イスラム国、「パルミラの守護者」を殺害

イスラム国、「パルミラの守護者」を殺害

Posted August. 21, 2015 07:16,   

한국어

ユネスコ世界遺産のシリア古代遺跡都市パルミラの研究に生涯を捧げてきたシリアの著名な考古学者のハレド・アサド氏(82)が、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)によって殺害され、世界に衝撃を与えた。

アサド氏は18日、パルミラ遺跡の近隣都市パルミラの博物館付近の広場で、覆面をしたISメンバーによって連れて来られ、数十人の住民が見る中、斬首された。アサド氏の死体は自身が保存に努力したパルミラの古代遺跡の柱につるされた。ISは、アサド氏の斬首された頭が両足の間に置かれた動画を19日、インターネットに公開した。

死体につけられた札には、赤いアラビア語の文字で、「パルミラ偶像の責任者、バシャール・アル・アサド政府の協力者、海外の異教徒と交流した背教者」などの「犯罪」が羅列されていたと、英国に本部を置くシリア人権監視団(SOHR)が伝えた。

1934年にパルミラで生まれたアサド氏は、20世紀のシリア考古学を切り開いた代表的な人物であり、エジプトでツタンカーメンの墓を発掘したハワード・カーター氏と肩を並べる。ダマスカス国立大学で歴史学を専攻したアサド氏は、1963年から2003年までパルミラ博物館総責任者として活動した。アサド氏は、スイス、ドイツ、米国、フランスなどの国際研究チームとの共同研究を通じて、パルミラに関する数十冊の著書と論文を国際学術誌に発表してきた。特に、2003年には、シリア・ポーランド考古学研究チームと共に人間と翼がついた神話的動物の戦いを描いた70平方メートルのモザイクを発掘する快挙をなした。

アサド氏は引退後もパルミラ博物館の専門委員として研究活動を続けた。今年5月、ISが占領する直前に、パルミラ博物館内の数百の古代の立像を安全な場所に緊急避難させる任務を総指揮した。アサド氏は1ヵ月前にISに逮捕された。遺物を移した場所を教えなければ殺すというISの脅迫にも、アサド氏は「何があっても良心に反する行動はできない」と言って最後まで抵抗したと、シリア文化財博物館総局のアブドゥルカリム総裁がロイター通信に伝えた。専門家たちは、ISがパルミラ近隣地域のどこかに隠された遺物を闇市に売って金を得るために行方を探していると見ている。

シリアの首都ダマスカスから北東に150マイル離れたパルミラは、ペルシャとインド、中国、ローマ帝国をつなぐシルクロードを行き来する商人のハブ都市だった。紀元前2000年前に作られた同都市は、精巧な古代遺跡が立ち並び、「砂漠の新婦」と呼ばれる。ISは今年5月にパルミラを占領して以降、博物館前のライオン像や古代遺物、墓などを破壊してきた。

ユネスコのイリナ・ボコバ事務局長は19日、声明を通じて、アサド氏の悲劇的な死を「おぞましい蛮行」と糾弾し、「故人の偉大な業績は極端主義者を越えて永遠に残るだろう」と述べた。