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ビックリーグを拒んで韓国へ、アイスホッケーのタイラー・ブリックラー

ビックリーグを拒んで韓国へ、アイスホッケーのタイラー・ブリックラー

Posted July. 04, 2015 07:04,   

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アイスホッケーの韓国代表は2018年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪に、開催国の資格で出場する。世界レベルには程遠いので、本大会出場は初めてだ。代表チームの目標は素朴なものだ。国内ファンが失望し過ぎるほどの大敗はしないことだ。1勝が挙げられればこの上ない結果だろう。そのために、韓国政府は、4人の特別帰化者を認め、太極(テグク)マークをつけられるようにした。その中に、韓国人の血が混じっている選手はいない。タイラー・ブリックラー(24=ハイワン)も、彼らのように韓国代表を希望している。そしてブリックラーは、韓国人の血が混じっている米国籍のハーフコリアンだ。

ブリクックラーにとって韓国は近くて遠い国だった。母親のハン・ヨンスクさん(56)は16歳のとき米国に移民し、米国人と結婚した。ハンさんは、子どもが幼いときから韓国の文化と食べ物に馴染ませた。リビングには太極旗も掲げておいた。ブリックラーは、「一番良く食べた料理がカルビとプルゴギだった」と言って笑った。だが、昨年まで一度も韓国を訪れたことがない。両親は仕事を休めなかったし、彼も学校を通っていたからだ。大学を出たとき、初めて韓国訪問を決意した。

ブリックラーは、米国大学スポーツ協会(NCAA)の2部リーグに当たるディビジョン3でチームの中央攻フォーワードとして活躍した。彼が所属したニューヨーク州立大学ジェネセオ校はディビジョン3でも一番レベルの高いニューヨーク州コンファレンス(SUNYAC)に属している。チームの主力フォーワードだった上、リーグ全体でも上位3人に入るほど優秀な選手だった。

今年、卒業を控えている彼に、米国と欧州の多くのアイスホッケーチームからラブコールが送られた。彼の決意ははっきりしていた。大金がもらえる数々のチームのオファーを断り、韓国の二つのチーム(ハイワンと安養漢拏)に自己紹介書を送った。自分の活躍を収録した動画も見せた。ブリックラーは「母親の国で是非プレーしたかった」と話した。

熱意が伝わったのだろうか。韓国代表のペク・ジソン監督は今年3月、彼に代表チームのキャンプでテストを受けるよう連絡した。彼は「自分よりも母がもっと喜んでくれて幸せそうだった。おそらく韓国でない他の国でプレーすると言っていたら、随分失望しただろう」と話した。初めて両親とともに韓国の地を踏んだ彼は、「母が自分よりもワクワクするのを見て、親孝行ができたんだなと思った」と言って笑った。選考テストが行われる代表キャンプで、優れたパフォーマンスを披露した。ハイワン入団が決まったのも、そのお陰だった。

ブリックラーは、二つのコリアンドリームを夢見る。一つはアイスホッケーの韓国代表になること。もう一つは、韓国に何かを報いることだ。帰化を考えているブリックラーは、「自分はハーフだが、韓国人だという考えを捨てたことがない。まずは、自分の実力を所属チームで証明することが重要だ」と話した。

代表抜擢の見通しは、今のところは肯定的だ。アイスホッケー本場の米国で選手生活をした経験がある上、守備能力まで備えたフォーワードとして、国内では珍しい技量を備えているからだ。大韓アイスホッケー協会の関係者は、「代表チームのペク監督も評価しているだけに、一貫して優れたプレーを見せれば、代表に選ばれる可能性もある」と話した。

ブリックラーは、五輪出場ため、選手層の厚い米国を逃げて帰化しようとしているのではないと強調した。韓国アイスホッケーの発展に貢献できることがあれば、それだけでも満足だと言う。ブリックラーは、「韓国に定着して暮らしたい。選手として活躍できないのなら、コーチとしてでも子どもたちを指導したい」と話した。自分の構想について、両親は、こう反応したと言う。「24年間を米国で暮らしたのだから、今後の24年は韓国で過ごす番だ。自分ができるアイスホッケーで夢を叶えてみなさい」と。



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