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[社説]専門家と空回りするコントロールタワー、「MERS隊長」を任命せよ

[社説]専門家と空回りするコントロールタワー、「MERS隊長」を任命せよ

Posted June. 09, 2015 07:25,   

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朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が8日、政府ソウル庁舎に設置された「MERS対策支援本部」を訪れ、「時々刻々変化する状況に対処するために、専門家たちが全権を与えられる必要がある」と注文した。朴大統領は「(専門家の意見を)参考にするのではなく、この人たちが全権を与えられ、時々刻々変化する状況に対して直ちに対応しなければならない」と強調した。朴大統領の発言は、MERS対応の指揮系統に保健専門家の意見がうまく反映されず、MERS対応を誤っているといった叱責に聞こえる。

崔鍫煥(チェ・ギョンファン)首相代行、黄祐呂(ファン・ウヨ)社会副首相、中央MERS管理対策本部長の文亨杓(ムン・ヒョンピョ)福祉部長官、MERS対策支援本部長の朴仁鎔(パク・インヨン)国民安全処長官につながる指揮系統に保健専門家がいない。しかし、梁秉国(ヤン・ビョングク)疾病管理本部長は元医師で、福祉部で保健と防疫業務を担ってきた。朴大統領は、指揮部で現場の専門家の声がうまく反映されず、事態が拡散したという保健専門家の意見を聞いたのかもしれない。これだから、「朴槿恵政府の内閣で危機管理ができる人が見当たらない」という批判が親朴(親朴槿恵)の座長である徐清源(ソ・チョンウォン)最高委員の口から出るのだ。

MERSは8日だけでさらに23人の感染が確認され、患者数が87人に増えた。サウジアラビアに続きMERS発病国家2位という不名誉な事態となった。このような状況で、14日から6日間の日程で行われる朴大統領の訪米を延期すべきだという主張が政界の一部から出ている。朴大統領がMERS事態の解決に乗り出す必要があるとしても、韓米首脳会談という重要な外交日程を延期するなら、得られるものよりも失うものの方が大きい。

朴大統領は出国する前に、国民が信じ、従える「MERSとの戦い」の司令官を指名し、力を与えなければならない。昨年10月、米国のエボラ出血熱事態の初期の頃はオバマ大統領も右往左往したが、事態発生約20日後には状況に責任をとってまとめる専門家を「エボラ・ツァーリ」に指名し、大胆に権限を付与したことから学ばなければならない。現在のMERS危機段階を「注意」から「警戒」に引き上げ、政府から緊張を高める必要がある。

政府のMERS危機段階はまだ「注意」となっている。「注意」は海外からの入国でMERS感染者が確認される段階だが、国内で患者が発生したにもかかわらず、「警戒」に上げないのは問題がある。保健所や地方自治体の公務員が隔離者を1対1で責任をもって管理し、未来創造科学部や警察などの協力を得て携帯電話の位置追跡をするためにも、省庁をあげて統轄できる総括指揮体制が必要だ。一部の地方自治体が福祉部の隔離病床の確保要請を拒否する「ニンビー現象」や一部の民間病院がMERS患者を避けることを阻止するためにも、「MERS隊長」が確実な統制権を行使しなければならない。