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世界的な神経学者「死への恐怖を隠すことはできない…」

世界的な神経学者「死への恐怖を隠すことはできない…」

Posted February. 23, 2015 07:18,   

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「死への恐怖を隠すことはできません。しかし、この美しい惑星で知覚ある存在であり考える動物として生涯を生きたこと自体大変な特恵であり冒険だったと思います」

世界的な脳神経学者でありベストセラー作家のオリバー・サックス米ニューヨーク大学教授(82)が19日、ニューヨーク・タイムズに死を控えた心境を告白した。サックス氏は、「私の人生」と題する寄稿文で、「9年前に手術を受けた目の癌が肝臓に転移し、最近、余命を宣告された。残された人生を整理しようと考えている」と明らかにした。米国のネットユーザーは、「人生を淡々と振り返る老知識人の文を通じて、日常の大切さを噛みしめる」などのコメントが寄せられた。

「私の人生」は、スコットランドの哲学者、デビッド・ヒューム(1711〜1776)が死の直前1日で完成させた短い自叙伝のタイトルだ。サックス氏は、「残された人生を意味深く過ごすために平素尊敬する哲学者ヒュームのように人生を整理する文を書いている」と伝えた。そして、「温和な性格のヒュームと違って激情的に自己を追いつめる気質のため、人生を観照し欲望を断つことが難しい」と書いた。

サックス氏は、「最期を日を控え、これまでの人生の1コマ1コマを大きな枠で眺めるようになった。いつになく今生きていると感じる。愛する人と別れの挨拶をし、文を書き、新しい次元の洞察力を育む」と明らかにした。また、「中東紛争、気候変動、経済の不平等といった話題も考えるが、それはもう未来の領域だ。残された時間、自分のことや愛する人のことに集中し、人生で必要なことだけする」と強調した。

そして、「今は感謝の気持ちが大きい。これまでの知人たちとの交流、書くこと、世界とのコミュニケーションに特に感謝する」と結んだ。

サックス氏は、神経科学界を代表する学者でありベストセラー作家だ。文学と医学を組み合わせた作品で「医学界の桂冠詩人」と呼ばれる。1933年に英国で生まれ、科学者の家庭で育ったサックス氏は、1961年に米国に渡り、医学の知識を簡単に解説したエッセイや小説で注目を集めた。第1次世界大戦直後、伝染病の一種である「眠り病」にかかった患者の話を書いた小説『レナードの朝』、アルツハイマー・精神分裂症を病む患者の内面を描いた『妻を帽子とまちがえた男』が代表的だ。『レナードの朝』など一部の作品はドラマ化や映画化された。