Go to contents

[オピニオン]嬉しき羊年

Posted January. 01, 2015 14:23,   

한국어

青々として草地で、のんびりと草を食べる羊群れの姿。シニア世代には、なんとなく慣れ親しんだ牧歌的風景だろう。1950〜80年代に、街中の床屋に行けば、簡単に目にできた、いわば「床屋の絵」の定番素材だった。大量販売用として製作された安価な複製画は、今はなくなっても、静かな風景の中の羊の群れだけは、平和や幸福を象徴するイメージとして、記憶に鮮明に残っている。

◆2015年の羊年が開けた。羊は、群れの生活をする従順な草食動物だ。「いけにえ」という言葉のように、羊が供物の象徴だったときもあったが、優しい「善」、美しい「美」、義理堅い「義」などの前向きかつ縁起のいい意味の文字にも溶け込んでいる。羊は、毛や皮、肉など、何一つ捨てるもののない有益な家畜だ。漢方では、羊を気を高める健康食品として解釈している。外部環境に合わせて、湿気を調整する羊毛布団も人気だ。

◆羊は大昔、人類の暮らしにも登場した。考古学界によると、旧石器時代の遺物と共に羊の顎骨が出土している。旧約聖書の「アベルが羊を飼い、カインが土地を耕した」という句のように、聖書でも羊は頻繁に登場している。我が先人たちは、羊を吉相の象徴と受け止めた。文献には、三国時代、外交上の贈り物として羊を送ったという記録が残っている。歴史的に、羊年には大きな出来事も多かった。1871年、米艦隊が江華島(カンファド)を侵略した辛未洋擾、1919年の3.1独立運動、1979年の10.26事態などだ。

◆1万年余り前、中央アジアの高原地帯で初めて羊を家畜として飼ったという。「牧童」という由緒ある職業を素材にした童話「羊飼い少年(狼少年)」は、世界中の子供たちに親しまれている。しかし、退屈しのぎのためについたうそが、予想もしなかった波紋を招くという童話の中の教訓は、今は、子供よりは大人たちのほうがより肝に銘ずるべき時だ。ともすれば、インターネットやソーシャルネットワークサービス(SNS)を通じて、うその情報を流した人たちのせいで、世間は濁っており、病気にかかっている。羊は群れを成していても、決して争わず、調和をなして生きている。乙未年の新年、紛争や対立のない世の中になることを願う。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com