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パロディの帝王、プーチン大統領

Posted May. 19, 2014 06:55,   

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ウクライナ情勢が次第に佳境に入っている。ロシアのクリミア半島編入に続き、東部地域の分離・独立を求める住民投票が圧倒的賛成で幕を下ろし、ウクライナは分断と内戦の危機に直面した。しかし、西側諸国は旧ソ連の国家にマッチョ的力を誇示するロシアのプーチン大統領を阻止する効果的な案を出せていない。

振り返って考えてみると、ウクライナ情勢は2月のソチ冬季五輪の時から準備されていた。ロシアの文化的優越性を誇示した華やかな開幕式から、冬季五輪の花である女子フィギュアスケートで自国選手に金メダルをもたらすまで・・・。「現代版ツァー」と呼ばれるプーチン大統領が見せたかったのは、まさに復活する「ロシアの力」だった。さらにプーチン大統領は、パラリンピックが終わる前に、階級章を外したロシア軍隊を電撃的に投入してクリミア半島を掌握した。約500億ドル(約54兆ウォン)を投じて行ったソチ五輪のメッセージが人類平和でなく旧ソ連の栄光の再現だったことを自ら証明したわけだ。

西側との地政学的チェスゲームで、プーチン大統領の戦略は常に一貫している。まさに自分を非難する敵に対する「模倣」と「パロディ」だ。ウクライナ南東部で官公庁を占拠したマスクをした分離主義デモ隊は、首都キエフで2月にヤヌコビッチ大統領を追放したマイダン広場のデモ隊のパロディだった。プーチン大統領は政府庁舎を占拠したマイダンデモを「西側の支援を受けた違法クーデター」と非難し、南東部の親ロシア分離・独立デモがなぜ悪いのかと反問した。プーチン大統領は、2008年のロシアのグルジア侵攻の時には米国のイラク侵攻を取り上げ、北大西洋条約機構(NATO)のコソボ紛争介入をロシアのクリミア半島編入の口実にした。

米国のオバマ大統領は、プーチン大統領を20世紀式古い冷戦思考にしばられた人物であると非難するが、プーチン大統領が21世紀型「非線形戦争(non-linear war)」の真髄を見せたという評価もある。国家保安委員会(KGB)出身らしく、プーチン大統領は一方では交渉を提案し、もう一方では軍隊を送って地域民兵隊を組織した。グローバル・メディアを通じて世論を動かすかと思えば、ロシアの石油企業に投資したBP(ブリティッシュ・ペトロリアム)やエクソンモービル、BASF(ビーエーエスエフ)といった多国籍企業のロビーを活用して西側の制裁を回避した。欧州連合(EU)やNATOといった同盟ブロックの拡大を通じてロシアを包囲しようとした西側が、かえって20世紀パラダイムにしばられている。

「新冷戦」時代の戦線は一層複雑になる見通しだ。まず、プーチン大統領は「ポスト共産主義者」ではない。彼は「オリガルヒ」で象徴される政経癒着資本主義の庇護者だ。クレムリンが連帯する国際勢力ももはや左派一辺倒ではない。フランスの国民戦線(FN)やハンガリーのヨッビク党などの欧州の極右民族主義者は反EU政策で、欧州の極左派は米国のヘゲモニーと戦うという大義名分で、それぞれプーチン大統領と連帯している。その一方、プーチン大統領は同性愛に対する反対を理由に米国の宗教的保守主義者とも手を握るなど、多彩なスペクトルが「非線形的」に結合する。

ロシアのプライド回復を掲げたプーチン大統領のクリミア半島編入は、21世紀に入って初めて強大国が国境を人為的に変化させた事件だ。このため、ウクライナ情勢は「欧州の9・11テロ」と呼ばれる。ウクライナの分断は、北朝鮮の急変事態など韓半島の有事の際、中国やロシアなど周辺国の対応にも影響を及ぼしかねない。米国など西側が新たな民族主義ファシズムの登場にあまりにも無気力だったことは憂慮される。