「スパムは止まれ」集団の知性で根絶する

会社員のキム・ジュンス氏（３４）は先日、電話に出たところ、面白い経験をした。携帯電話が鳴ったので出ようとすると、スマートフォンのメイン画面に知らない電話番号が表示されていたが、その横に、「電話に出るな」というメッセージが一緒に表示されたためだ。自分より前に同じ番号から電話がかかってきて出た誰かが立腹のあまり、当該番号についてこのような評価を残したようだった。キム氏はぷっと笑いながら、ためらうことなく電話の遮断ボタンを押した。

キム氏が、直接電話に出ず、該当番号が迷惑電話であることを知ったのは、スマートフォンにいわば、「迷惑探知アプリケーション（アプリ）」をダウンロードしたためだ。迷惑探知アプリは、当該アプリを使うユーザーらが、特定番号について残した評判をまとめて、電話がかかってきた時に知らせてくれるサービスだ。

キム氏は、「時と場所を選ばずかかってくる迷惑電話に腹が立つ時も多かったが、アプリをダウンロードしてから、不要な電話の多くを遮断することができた」とし、「たまに、迷惑電話に出てしまった時は、ほかの人たちの役に立ちたいと思い、番号についての評価をこまめに残している」と話した。

●集団的評価を集めて迷惑行為を撲滅

相次ぐ個人情報流出事故で、個人の名前や携帯電話の番号が世間に出回っているなか、迷惑電話やメッセージを防ぐ代案として、集団知性を活かした迷惑探知サービスが脚光を浴びている。

ネイバーの「フーズコール」をはじめ、ＫＴの子会社・ＫＴｃｓの「フーフー」など、アプリの形態をとった迷惑探知サービスが、５０件近くも出ている。最近は、ＳＫテレコムの「Ｔ電話」のようにモバイル通信会社専用フラットフォーム内に、迷惑電話識別機能を搭載したサービスも登場した。

「フーズコール」をダウンロードすれば電話がかかってきた時、データーベース（ＤＢ）に保存されている該当番号を巡る多くの人たちの評価が一緒に表示される。ネット上に該当番号関連のコンテンツがあれば、インターネットの検索結果も、一緒に表示される。これを通じてユーザーは、１０秒ぐらいで、スパムかどうかを判断することができる。

電話を切った後は画面に、「スパムの形態を選択」のメニューが現れ、△スパム、△テレマーケティング・広告、△相談センター、△違法ギャンブルコンテンツ、△アダルトコンテンツ、△振り込め詐欺、△その他のうち一つを選んで分類し、詳しい評価も残すことができる。主婦のイ・ジウン氏（３２）は、「かつては、振り込め詐欺などの電話に出ても、いらいらを解決する方法などなかった」とし、「ところが最近は評価を残して、ほかの人たちに知らせることができるので、すっきりした」と話した。

●「スパム遮断市場、新成長の期待の星」

スパム遮断サービスの市場が、爆発的に成長している。１２年７月にサービスを開始したフーズコールは１年半後の先月、世界での累積ダウンロード件数が１０００万件を突破した。ＫＴｃｓの「フーフー」も最近、国内ダウンロード件数が５００万件を突破し、人気を集めている。

ＫＴｃｓ側は、「毎日寄せられるスパム件数は、１日に７万件、月平均のスパム識別件数は、計２億件に上る」とし、「『信号違反の罰金請求』のメールや、『年末調整のご案内』などに、巧みに偽装されたスミッシングメールも探知し、さまざまな詐欺事件を予め防止している」と伝えた。

フーズコールは元々、台湾のベンチャー企業・ゴーゴールックが発売したサービスだったが、ネイバーが昨年１２月、ゴーゴールックを買収した。当時、業界ではネイバーのゴーゴールックの買収金額が１８６億ウォンに上るだろうと試算した。

ネイバーの関係者は、「ＩＴ業界がスパム遮断サービスに注目しているのは、国籍や老若男女を問わず、誰もが希望するサービスであるためだ」と話した。ネット業界の関係者は、「国内にすでにフーズコールなどのサービスがあったのに、ネイバーが巨額を払ってゴーゴールックを買収したのは、ゴーゴールックが持っていた６億件規模の電話番号のＤＢが大きな役割を果たした」とし、「このような中華圏の電話番号を足がかりに、ネイバーがラインの中華圏への進出を模索する可能性がある」と話した。

ＳＫテレコムが「Ｔ電話」サービスを出したのは、自社加入者らに差別化した便宜を提供することで、客の忠誠心を確保しようとする試みであると業界では見ている。モバイル業界の関係者は、「世界トップのモバイル運営体制（ＯＳ）の供給会社であるグーグルも最近、スマートフォンＯＳの『キットカット』に、電話番号識別サービスを内蔵した」とし、「ＤＢの構築が本格化すれば、関連市場の強者として浮上するだろう」と見込んだ。