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楊万春の弓・エミレの鐘、米大学の講義に登場

楊万春の弓・エミレの鐘、米大学の講義に登場

Posted January. 30, 2012 03:06,   

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「優れた弓師として、西洋にウィリアム・テルがいるなら、東洋には韓国の楊万春(ヤン・マンチュン)がいる」

ナノ分野で世界的に認められている在米韓国人科学者のキム・ギョンソク米ブラウン大学教授(機械工学科、60)。キム教授が、同大学工学部の基礎必修課目「力学と振動(Dynamics and Vibrations)」の時間にこう言って話を切り出し、学生たちが首をかしげた。楊万春は高句麗の安市城の城主で、645年に高句麗に攻め入った唐の太宗の目を矢で射たという話が伝えられている。キム教授が、「弓の作動原理をこの時間に工学的に究明する。実験すれば分かるだろうが、工学的な原理によって、世界で最も優れた弓が韓国弓であることを分かるだろう」と言うと、学生たちは興味を持って、歴史と物理・機械工学が融合する講義にのめりこむ。

名門アイビーリーグ大学のブラウン大学工学部の学生は、94年からキム教授の手作りの教材でこの科目を受講してきた。受講した学生は約1000人にのぼり、彼の下で博士やポストドクターとして学んだ25人が、米国の大学にいる。韓国文化の優秀性を科学で解く「科学韓流」の伝導師の役割をしてきたわけだ。

キム教授は29日、東亜(トンア)日報との電話インタビューで、「90年代初め、ブラウン大学から人文学と歴史が結びついた工学部の教材を作るよう要請され、どうせなら韓国文化の優秀性を科学で解こうと作業を始めた」と話した。

韓国の弓づるの長さ(120センチメートル)が英国の長弓(180メートル)、日本弓(2メートル)に比べては短いが、射程距離は2、3倍長い最大1キロメートルまで飛ぶ秘密をキム教授は実験を通して解明した。その結果、韓国の弓は他国の弓とちがって、頂点が2回発生する「2段推進ロケット」と同じ軌跡を辿るという点を明らかにした。東洋人は体が小さいので、うまく弓が引けるよう弓を短くしたと信じる人が多いが、これは弓づるをはやく引いて、推進力を高めるための昔の人の知恵だというのがキム教授の説明だ。また、韓国弓は、曲がった部分が5ヵ所あるが、曲がった部分は、ひかがみの部分でもう一度推進力が発生するとキム教授は説明した。

キム教授は、「弓だけでなく、エミレの鐘、亀甲船、鮑石亭のような韓国の伝統が優秀な科学の原理を基盤としているが、米国では全く馴染みがない。工学を興味深く説明する材料として韓国の伝統を今後も活用する」と話した。実際、エミレの鐘の音が西洋の鐘と違って遠くまで響く原理を究明して「アドバンスト・ダイナミックス」という教材を作成し、3、4年生に教えている。キム教授は、「波長を長くするには、鐘の下を厚くし、鐘のてっぺんは薄くするなど、鐘の高さに比例して厚さを変えなければならないが、エミレの鐘にはその原理が徹底されている」と説明した。キム教授は、この教材を米国全域に広めるため、米工学教育協会で発表もした。

キム教授は、ソウル大学工学部機械工学科を大学院まで終えて留学し、89年からブラウン大学で教鞭をとっている。ナノマイクロ工学研究センターを率いるキム教授は、昨年、韓国科学技術研究院(KIST)と超音波を利用して炭素ナノチューブを正確に切断できる原理を発見し、英「王立学術院会報」に掲載して、世界の科学界から注目を集めた。



witness@donga.com