「2ヵ月だけ我慢しようと思ったが、これ以上耐えることができなかった」
昨年11月5日、京畿道驪州郡(キョンギド・ヨジュグン)のA中学校のカウンセリング室。同校の2年生の生徒約10人がカウンセラーの教師に震える声で打ち明けた。10ヵ月以上、自分たちを苦しめてきた上級生の「悪行」を初めて伝えた瞬間だった。ある生徒は、「自分たちが3年になる来年まで我慢しようと思ったが、ある時からお金が足りなくなって、後輩から取った」と話し、「これ以上耐えられないので打ち明けようと思った」と語った。生徒たちは口をそろえて、「どうかこの状況を終わらせてください」と涙で訴えた。A中学校で1年間に起こった慢性的な学校暴力は、被害生徒の勇気ある告白で全貌が明らかになった。
●継承される学校暴力
A中学校が集団的な学校暴力の実態を知ったのは、昨年の11月4日。毎月定期的に実施する学校暴力アンケート調査だった。生徒9人が上級生の継続的な暴力と金品の恐喝の事実を打ち明けた。さらに2年生の生徒15人が教師に直接、一部の3年生の暴力の事実を話した。教師は不安に震える生徒と一緒にジャージャー麺を食べて落ち着かせた。
2日間にわたり具体的な被害の事実を調査した教師らは、同月7日、加害生徒に「接触禁止命令書」を渡した。被害生徒の父兄を呼んで状況を説明し、加害生徒に対する調査に着手した。加害生徒は一部事実を認めたが、奪った金の金額や暴力の程度は被害生徒の主張と大きく食い違った。結局、学校側は驪州警察署に捜査を依頼した。さらに、外部の専門家が参加する学校暴力対策委員会が開かれた。対策委は、加害生徒に登校停止などの措置を下す一方、被害生徒のための心理治療も始めた。
学校側は、不安と恐怖に怯える被害生徒の心理的安定のために、教師も参加する平和キャンプを実施した。瞑想とカウンセリングプログラムが行われた。被害生徒と加害生徒の父兄を別々に呼んで状況を説明した。特に、11月29日には両者の父兄、生徒と担任教師の約80人が4時間にわたって「調整の会」を開いた。一時、両者の父兄が衝突するなど一触即発の状況だった。しかし、4時間に渡る話し合いの末、客観的な事実を認めて閉会となった。学校関係者は、「学校暴力の発生事実を隠そうとすれば、抜本的な解決は難しい。学校暴力を防ぐことはできなかったが、事後対処を客観的で透明に行うことに努めた」と説明した。
●暴走する生徒たち
警察捜査の結果明らかになったA中学校の学校暴力は、組織暴力団の形式と似ていた。4日、警察によると、今回摘発された加害生徒22人は、3年の在学生と卒業生だった。彼らのほとんどが特殊窃盗、恐喝、無免許運転などで刑事処罰や学校の懲戒を受けた前歴があるいわゆる「問題生徒(問題児)」だった。
彼らは昨年2月から11月までの10ヵ月間、同校の1、2年の生徒43人から61回にわたって計260万ウォン相当の金を奪い、学校の近くの山などで暴行した容疑がある。彼らは、下級生1人に「金を集めて来い」と恐喝した。目をつけられた生徒は、同級生数人から金を集め、5万〜30万ウォンを上納した。特に、学校で中心的な金君(15)は、昨年11月8日、後輩の男子生徒7人に対して、7回にわたって自慰行為をさせるなどのわいせつ容疑もある。金君ら6人は昨年11月初め、加害生徒の自宅や某小学校の運動場で、家出した女子中生徒2人(各13才)と酒を飲み、性的暴行をした容疑もある。警察は、金君ら4人に対し暴力などの容疑で拘束令状を申請し、18人を不拘束立件した。
●障害のある女子生徒をいじめた高校生も
京畿道利川(イチョン)では、高校1年生の男子生徒6人が、同じクラスの障害のある女子生徒に対し、常習的にいじめを行っていた。利川のある高校によると、同校の1年生の男子生徒6人は昨年12月21日午前、授業時間に同じクラスのCさん(18)の背中とわき腹を数回殴った。また、暴行の様子を携帯電話で撮影した。男子生徒は昨年3月から最近まで、このようなやり方でCさんを継続的にいじめていたという。この事実は、携帯電話の動画が教師に摘発されたことで明らかになった。学校側は、学校暴力対策自治委員会を開き、いじめを主導した生徒2人に障害者施設社会奉仕40時間と特別教育の履修を、残りの4人には社会奉仕40時間の懲戒措置を下した。利川警察署は同日、捜査に着手した。
一方、京畿道教育庁は、学校暴力に積極的に対処する担当チームを道教育庁と各地域の教育委員会に設置する案を推進することを決定した。金相坤(キム・サンゴン)京畿道教育監は、「中学生たちは最近、苦しんでいる。そのため逸脱行動もひどい」とし、具体的で現場に合った政策と事業を協議し、必要に応じて担当チームを構成するよう指示した。
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