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[オピニオン]姜慶植氏の回顧録

Posted December. 15, 2010 03:12,   

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1997年の通貨危機の際、経済政策トップだった姜慶植(カン・ギョンシク)元副首相兼財政経済院長官が、回顧録「国がすべきこと、してはならないこと」(キムヨンサ出版)を発売した。1961年、財務部事務官として仕事を始め、30数年間を公職で過ごした氏は、この本の中で、「政府管理は、常に『なぜ政府がしなければならないのか』という疑問を持つべきだ」と助言している。市場で決めるべきことは、市場に任せるべきだという意味だ。氏は、「最も後悔していること」として、1997年の赤字累積で不渡り寸前に追い込まれた起亜(キア)自動車を、直ちに不渡り処理しなかったことを挙げている。

◆この本の中で注目を集めるくだりは、ほかならぬ通貨危機の時の状況だ。氏が当時の金泳三(キム・ヨンサム)大統領に報告をし、国際通貨基金(IMF)に対し、支援要請を最終的に決めたのが1997年11月14日だった。その2日後の16日、姜元副首相は、ミシェル・カムドシュIMF総裁と会談し、IMFに300億ドルの支援要請し、正式発表は19日に行うことを決めた。しかし、氏は19日午前、更迭された。後任の林昌烈(イム・チャンヨル)元副首相は、IMF行きを覆したが、自主的な外貨調達に失敗すると、21日、IMFに助けの手を求めた。

◆姜元副首相は、「約束を翻したことで、IMFと米国から信頼を失い、我々は厳しいIMFの救済金融条件を受け入れざるを得なかった」と主張している。当時の金仁浩(キム・インホ)経済首席秘書官も、「通貨危機の主犯は誰なのか」という新聞投稿で、「IMFとの合意を破らず、構造調整の意志を明らかにしたなら、緊縮政策は、交渉を通じて拒否することもできたはずだ」と書いている。いつになっても残念でならない。

◆姜元副首相は、自分と金元首席が金大中(キム・デジュン)政権時代、「通貨危機の主犯」として裁判を受けたことを巡り、「魔女狩りだ」と批判した。通貨危機は、政府や政治家、経営者に全ての責任があるという主張だ。最高裁は04年、「官僚の政策判断に対し、法的責任を問うことはできない」として、無罪を言い渡した。通貨危機の裁判はあったものの、白書は依然、まとまっていない。米国は数年間に渡り、「9.11報告書」をまとめ、タイは通貨危機に至った経緯での過ちなどをまとめた「ヌークル報告書」を出した。通貨危機の辛い経験を知るためには、関係者らの回顧録や国会の報告書を探さざるを得ない現実が嘆かわしい。

洪権熹(ホン・グォンヒ)論説委員 konihong@donga.com