Go to contents

「駄目で元々」 年3万件上告…最高裁判事1人当たり2700件

「駄目で元々」 年3万件上告…最高裁判事1人当たり2700件

Posted March. 09, 2010 09:59,   

한국어

「駄目で元々なので、やれるところまでやろう」。1、2審の判決を認めることができないとし、昨年、最高裁に上告した事件数が、史上初の3万件を上回ったことが8日、確認された。最高裁上告の事件数が04年に2万件を上回って以来、わずか5年。上告事件が急増し、最高裁判事1人が処理しなければならない事件数も手に負えない水準に達し、一部の最高裁判事は、激務によるストレスと様々な病気に苦しめられている。しかし、これによって、最も大きな被害を受けるのは結局は国民という点で、画期的な対策が必要だという指摘が多い。

●最高裁判事1人、1日7件処理

最高裁によると、09年の1年間に上告された事件は、計3万2361件。08年(2万8040件)より15.4%も増え、初めて3万件を越えた。最高裁長官と裁判所行政処長を除き、3つの小部を構成する12人の最高裁判事が1人当たり平均2700件近い事件を処理しなければならない。最高裁判事が皆1年365日を1日も休まずに働いても、1日に7件以上を審理しなければ、すべてを処理できない計算になる。最高裁まで行って争う事件は、裁判記録だけで数千ページに達するケースが多いため、最高裁判事1人当たり1日に目を通さなければならない記録の量は、数万ページに達する。

このため、最高裁判事が直接事件を審理するという訴訟当事者の期待とは違い、大半の上告事件は、最高裁判事を補助する約90人の裁判研究官が、事実上裁判を引き受ける「研究官裁判」になっている。裁判研究官出身のある部長判事は、「裁判研究官は、伝統的に判事が好む裁判所内の要職だが、最近、上告事件が急増し業務負担が大きくなり、人気が以前のようではない」と伝えた。当然、上告審で活発な口頭弁論が行われることはない。毎月2回開かれる最高裁宣告の期日に最高裁法廷に行ってみると、最高裁判事が数百件の事件番号と宣告結果を忙しそうに繰り返し、読み上げる姿が演出されるのが大半だ。A最高裁判事は、「大韓民国の代表の裁判所の姿がこうなので、『政策裁判所』になるのは、現在のところ夢にすぎない。上告事件の急増で、最も大きな被害を受けるのは、結局国民だ」と話した。

事情がこうなので、様々な病気に苦しむ最高裁判事が少なくない。B最高裁判事は最近、過労とストレスに苦しみ、皮膚に水泡ができ、ひどい痛みを感じる帯状疱疹を病んだ。C最高裁判事は、歯と体の平衡感覚を維持する耳の中の前庭器官に異常が生じた。最高裁判事の任期6年を満たした後、緊張が一度に緩み、視力が急激に悪くなったり、健康悪化で倒れたりする最高裁判事もいた。

●「拘留日数も稼ぎ、家族とも面会…」

最近、上告事件が大きく増えたのは、刑事事件の上告件数が急増したためだ。昨年の刑事事件の上告件数は1万8235件で、前年に比べ24%も急増した。同期間に民事事件が、7%増えたのと比べると、3倍以上多い。このように刑事事件の上告が急増したのは、昨年6月、憲法裁判所が、未決拘留日数の一部を刑期に算入できないようにした刑法条項に違憲決定を下した影響が大きい。

憲法裁の決定により、裁判を待っている間に未決囚として拘留された期間もすべて刑期に含まれ、裁判が長くなっても被告人が損をすることがなくなった。未決囚として上告審事件を待てば、拘留日数を稼ぐこともでき、面会も相対的に自由なので、上告理由書に「家族と面会したくて」というあきれた理由を書いた被告人もいると、最高裁は明らかにした。

裁判所の略式命令(裁判をせず罰金刑宣告)を受け入れることができないとし、正式裁判を請求する事例が増加しているのも、上告事件の増加理由の一つだ。略式命令で、罰金刑の宣告が予定された被告人が、これを受け入れず、正式裁判を請求しても、略式命令より高い刑を宣告できないとした「不利益変更禁止原則」のため、被告人側が損をすることがないためだ。むしろ、正式裁判によって、罰金の金額が下がる可能性が生じる上、裁判の間、罰金の納付を先送りにすることもできる。結果的に、正式裁判の請求件数が着実に増え、上告件数もともに増加していると裁判所は分析している。



baltika7@donga.com