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三星電子「ポストITはヘルスケア」

Posted January. 25, 2010 09:05,   

三星(サムスン)電子は、「ヘルスケア」分野での海外向け進出を本格化している。ヘルスケアは最近、三星グループが世宗市(セジョンシ)への入居の発表の際、明らかにした新事業の一つ。これまで、三星電子の主力事業は、半導体や携帯電話、テレビ、液晶表示装置(LCD)などの情報技術(IT)分野に限られていた。三星電子はこれを通じ、「ポストIT」時代に備え、足がかりを固めているものと見られる。

24日、電子業界によると、三星電子と日本トヨタ自動車グループは、三星電子のヘルスケア関連特許技術「SPi(Super Plasma ion)」を、トヨタ自動車に適用するための議論を行っている。両社の協力が決まれば、三星電子が新事業分野で上げる最初の目立つ成果となる見込みだ。SPi関連技術は近いうちに、香港の大手ショッピングセンターにもモデル事例として適用される予定だ。

●注目を集めているヘルスケア市場

SPi技術は、空気中の水分を分解し、活性水素や酸素イオンを大量に発生させ、空気中のウイルスなどの有害物質を除去する三星電子の独自的技術だ。空気清浄分野でのほかの競争メーカーの類似技術に比べ、人体に有害な活性酸素の排出を排除する点が異なる。

昨年、新型インフルエンザA(H1N1)の拡大を受け、ウイルス除去を手助けする技術として注目を集めた。06年ごろから、同技術を適用した空気清浄機や除菌器などが発売され、最近は自動車や建設、空港分野などへと適用範囲が広がっている。

電子業界の関係者は、「トヨタ自動車は、三星電子のブランドが世界に広く知られており、三星電子からのSPi技術の導入は、海外市場での販売でも前向きな効果をもたらすものと期待している」とし、「これを受け、日本国内向けに先立って、海外販売向けから適用される可能性が高い」と説明した。

国内ではすでに、ルノー三星自動車の「SM7」に適用されている。三星電子は、トヨタのほかにもベンツやBMWなど、ヨーロッパメーカーともSPi装置の適用に向け、議論を進めているという。

●ショッピングセンターと航空機分野にも参入

最近、SPi技術は、香港の建設会社、JEC(ジャーディンエンジニアリングコーポレイション)から「ラブコール」を受けている。JECは、香港パイオニアセンターに、三星技術をモデルケースとして適用したあと、結果を見守りながら、新築ビルにも導入することにした。香港は、高い人口密度や高温多湿の気候のため、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)などのウイルス性病気の発生確率が高い地域として知られている。

ウイルスの拡散ルートとなりうる航空業界にも、SPi関連製品が参入する見込みだ。三星電子は早ければ今年中に、全日本空輸(ANA)の機内で、SPi技術を適用した携帯向け浄化装置を販売することにした。

世界の学界で関連技術をPRしようとする動きも積極的に行われている。三星電子は今月、シンガポールで、「SPiフォーラム」を開催する予定だ。東南アジア市場での知名度を高め、市場を先取りするという目標を持っている。

●今年は新成長エンジンを発掘する年

三星電子は早くから、新事業推進団を立ち上げ、主力事業のほか、新たなエンジンの発掘に力を入れている。最近、世宗市への投資の発表の際に明らかにした新事業としては、「グルーンエネルギー」や「ヘルスケア」が代表的だ。ヘルスケアは、生命工学技術(BT)とITとの融合や複合を通じ、先端医療機器を作る事業が中心となっている。SPi関連技術も、広い意味で、ヘルスケア事業として育成している。

三星経済研究所のシン・ヒョンウォン首席研究員は、「今年は三星電子を始め、グローバル企業各社が新たな成長エンジンを発掘する転換点の年になるだろう」と見込んだ。



achim@donga.com