プラスチック射出金型の核心素材であるホット・ランナー・システムを生産する京畿華城市(キョンギ・ファソンシ)のユド実業は、従業員数170人あまりの中小企業だが、アジア・トップ、世界では2位のシェアを誇る会社である。ホット・ランナー技術の国産化に初めて成功した同社は、持続的な研究開発(R&D)を通じて世界的な競争力を誇るグローバル企業へと成長した。仁川(インチョン)の切削工具専門製造会社の「YG−1」や京畿安山市(アンサンシ)の自動車部品メーカー「SJM」も独歩の技術力を基に、世界を股にかけている「強小企業」である。
このような企業のみあれば心配事もないだろうが、韓国銀行の報告書に出ている韓国技術の競争力はまことに嘆かわしい水準だ。韓国の技術貿易収支の倍率は07年基準で0.43倍だ。技術輸出額が輸入額の半分にも満たないという意味である。世界トップの日本(3.49倍)の12%に過ぎず、経済協力開発機構(OECD)の21加盟国の中ではビリから3番目である。同年、韓国の特許権などの使用料の収支は33億9800万ドルの赤字だった。代表的な輸出品目のなかでも箱だけ韓国製品であり、付加価値の高い部品や素材は日本など、外国製品である場合も少なくない。
世界を襲っているグローバル経済危機が山場を超えれば、世界経済秩序の変化や再編は欠かせない。製造業の生産性に大きな影響を及ぼす技術競争力は国家全体の競争力を左右する核心的な変数となり、これを受けて国家間の優劣やプレゼンスも見直されるだろう。当面の危機を克服するための短期的な対策作りも重要だが、「グローバル危機後」を見通した研究開発(R&D)投資や技術力の強化が求められている。
世界最大自動車市場の米国は20年まで、米自動車の平均燃費を画期的に高めるグリーン・カー(green car)のガイドラインを作っている。グリーン・カーの源泉技術を韓国がどれだけ先に確保するかに、韓国自動車産業の未来がかかっているといっても過言ではない。新技術の研究開発のための投資は、政府と企業が足並みをそろえてこそ有効に実施することができる。
政府は、製造業の基盤技術の発展のための産業政策を、体系的に推進しなければならない。独自的な技術力を持つ企業が一時的な資金難や敵対的な買収合併(M&A)の脅威にさらされず、技術開発や市場開拓に全力を傾けるよう、政策的に環境を整えることも大事である。






