電話のベルが鳴る。「李明博(イ・ミョンバク)です」。「大仏(テブル)産業団地の企業家です。ブロック運びに支障のあった電柱は地中化事業が終わり、全部土中に入ってしまいました。ところで橋梁の幅が充分でなく、船舶ブロックを移すのに不便です」。再び電話のベル。「大統領です」。「中小企業家です。法人税を軽減してくれれば、投資も雇用も増やすことができます」。今度は午前5時、国際電話だ。「今起きたところです。どうぞ」。「米国企業と投資誘致契約を今結ぶ計画ですが、首都圏の投資がふさがって大変です。規制緩和を急いでくだされば5000件の雇用を新たに生むことができます」。
◆李大統領が、執務中はもちろん、寝室でも受けるという「24時間企業家ホットライン」が実現した場合に予想される状況だ。他の窓口を無視して大統領の携帯電話に、考えもなくかける企業家はほとんどいないはずだが、投資増大案を大統領に直接提案するチャンネルがあるというだけでも、企業家は心強いはずだ。一方、企業の規制ばかりに慣れた公務員にとって、これ(MBフォン)は恐るべきしろものと感じられるだろう。
◆ホットラインは「キューバのミサイル危機」の翌年、1963年8月に米ホワイトハウスと旧ソ連のクレムリン宮殿の間に開設された直通テレタイプ通信線が始まりだ。事故、誤算、通信失敗などによる戦争の危険を避けるため、首脳部の直接・間接対話の道を開いたものだ。その後、フランス、英国がソ連と、米国は中国とそれぞれホットラインを設置した。南北韓の間でも稼動してきたホットラインが、いまや大統領と企業家の間にも必要になったのだ。
◆李大統領が企業家たちに先に電話をかけることもありうる。企業家精神をあおり立て、「一緒に走ろう」と望む大統領の電話に出た企業家は、浮かれるに違いない。ホットライン開設1年後、李大統領が企業家からこんな電話を受けることを望む。「私が提案した20件のうち、19件が直ちに解決されており、1件もまもなく処理されるそうです。おかげさまで投資と雇用を増やしています」。
洪権熹(ホン・グォンヒ)論説委員 konihong@donga.com






