「我々の前には平和や統一という第3の挑戦が待っており、皆さんがイラクで流した汗や努力で、挑戦を乗り越えることが出来るでしょう」。05年2月1日、イラク北部のアルビルのザイトゥーン部隊を訪問した鄭東泳(チョン・ドンヨン)当時の統一部長官が、兵士の前で振るった熱弁だ。同氏のねぎらいの言葉は、「我々は外部に出ているとき、祖国愛の実態を目にすることができます。祖国と外に出ている皆さんが出会ったとき、真なる祖国愛を感じることができます」という言葉が続いた。同氏は軍服姿で、兵士たちとともに昼食をとった後、「ザイトゥーンのために!」を叫んだ。
◆大統合民主新党の大統領候補となった鄭元長官は、ザイトゥーン部隊を見る観点が2年8ヶ月前とは様変わりした。同氏は先日、新党の議員総会で、ザイトゥーン部隊の派兵延長への反対論を展開しながら、「戦場で韓国の若者の血を売って豊かな暮らしが出来れば、それでいいというやり方の価値を追い求めてはならない」と主張した。「李明博(イ・ミョンバク、ハンナラ党)候補は、韓国軍が世界用兵の供給源となってもいいのか答えるべきだ」と述べた。
◆鄭元長官のザイトゥーン部隊の訪問は、大統領の座を狙ったイベントだという批判が相次いだ。国家安全保障会議・常任委員長をかねてはいたが、統一部長官のザイトゥーン部隊への訪問は、所管の業務とはほとんど関係のないことだった。当時、政府内でも、「ザイトゥーン部隊が国務委員や政治家の観光コースとなってはいけない」という批判が持ち上がった。そのときは、ザイトゥーンをイベントとして活用したが、今は、反米左派の票を獲得するため、見捨てるようなことをしている。
◆ザイトゥーン部隊を、「挑戦に打ち勝つ祖国愛の実態だ」とたたえたことを忘れ、「若者の血を売る用兵」と罵倒するのは妄言だ。熱砂の国で命をかけて勤務した兵士たちは、不意に金に売られた用兵となった。05年2月の鄭氏と今日の鄭氏は、果たして同じ人物なのが疑わしいほどだ。我々は数千億ウォンの費用を負担しながら、平和や再建のためにイラクへ派兵した。長官や大統領候補は違うだろうが、一つの事案について、果たしてこれほど様変わりできるものだろうか。状況に応じて言葉を変える鄭候補の姿にがっかりする人は大勢いるだろう。
方炯南(バン・ヒョンナム)論説委員 hnbhang@donga.com






