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企業都市に選定ばかりして、後は「企業任せ」の無責任行政

企業都市に選定ばかりして、後は「企業任せ」の無責任行政

Posted June. 23, 2007 04:33,   

9月着工予定の忠南泰安(チュンナム・テアン)企業都市。全国の6ヵ所の企業都市の中で事業速度が一番速く成功例として挙げられているが、事業を主管している現代(ヒョンデ)建設は人には分からない悩みが深くなるばかりだ。都市が完工してもしばらくの間、連結道路もなく「独りぼっちの孤島」になりかねないからだ。当初、現代建設は企業都市に連結される道路や上下水道など各種基盤施設は、当然、政府が建設してくれるものと思っていた。国家均衡発展特別法にも、これに対する根拠がある。

しかし、いざ事業が進められると、政府は「企業が好きなようにせよ」といった態度を取った。予算を担当する一部省庁で、「特定企業に恩恵を与えるのは困難だ」という立場を示した。現政権が国家均衡発展政策の中核成果として誇っている企業都市が政府省庁同士の足並みの乱れや非協力のなかで、漂流している。企業の間では「企業都市が企業を足を引っ張るようになった」というため息も漏れている。

▲企業の足を引っ張る企業都市〓企業都市につながる基盤施設が適時に造成されなければ、企業都市は言葉どおり「無用の物」になってしまう。だからと言って、企業が全ての費用を負担しようとすると、採算性が取れない。建設業界のある企業都市関係者は、「ソウル江南(カンナム)の代替効果も不明瞭な首都圏新都市の基盤施設の造成にはお金を惜しまないで使うという政府が、国家均衡発展という名分で何もない立ち遅れている施設に企業都市を選定しておいては、企業に負担を押し付けている」と批判した。

建設業界の不満が高まると、政府は首相室傘下にタスクフォース(TF)チームを立ち上げて、政府や地方自治体、業界の基盤施設の造成費の負担比率を決めると約束した。しかし、業界は「政府が『その場しのぎ』をしようとしている」として、疑念を捨てずにいる。

一部の自治体は企業都市の造成に協力する見返りとして、特区指定など宿願事業を解決せよ、などのとんでもない要求もしているというのが業界の訴えだ。

▲用地確保など一難去ってまた一難〓用地の確保も問題だ。ハンナラ党の金在庚(キム・ジェギョン)議員室によると、企業都市予定地の6ヵ所の市郡の公示地価の総額は、企業都市の対象地を選定した2005年に比べて、昨年現在、13〜41%値上がりした。

実際の地価上昇率はこれをずっと上回る。2005年7月、茂朱(ムジュ)企業都市に指定された全北(チョンブク)茂朱郡安城面(アンソンミョン)不動産側は、「ここの農地が企業都市に指定される前には5万〜10万ウォンに取引されたが、今は売り渡しの呼び値が15万〜20万ウォンへ倍以上値上がりした」と述べた。

今年から施行された譲渡税の実勢取引価格を土台にした課税も、企業の足かせとなっている。譲渡税の負担のため、地主が土地を売ろうとしないのだ。

都市の造成に欠かせない学校と病院の問題も山積している。企業は立ち遅れている地域に建てられる企業都市に首都圏の企業と人口を引き付けるためには、営利法人などを果敢に許容してソウル並みの環境を整えなければならないと主張しているが、政府は難色を示している。

▲企業のない企業都市の懸念も〓ソウルに近いながらも首都圏規制を受けない江原原州(カンウォン・ウォンジュ)企業都市は相対的に環境がよいとは言え、未来が明るいわけではない。

先端医療団地を造成するというのが原州企業都市の目標だが、政府が仁川(インチョン)松島(ソンド)新都市や忠北(チュンブク)オソン新都市、行政中心複合都市にも似たような団地を指定したからだ。車で30分ぐらいの忠北忠州(チュンジュ)企業都市も先端研究団地を建てる予定だ。

原州企業都市の関係者は、「政府レベルの『選択と集中』が必要なのだが、このように多ければ都市同士の競合が激しくなり、企業もどこへ行けばよいか迷うようになる」と訴えた。

務安(ムアン)企業都市は政府省庁間の協議が引き延ばされて、今年4月になってようやく解決計画の承認が下りたが、企業側はまだ具体的な事業内容を決定できずにいる。

ある関係者は、「お金は投じられ、時間は経っているが、先端産業団地、健康保養団地など政府が提示した事業の内容が具体的でないため、方向を決める上で困難を覚えている」と述べた。

全国経済人連合会・産業基盤チームのチョン・ボンホ次長は、「立地が良くない上、資本力も足りなくてアイデアもあまりないため、6ヵ所の企業都市が全部造成されるとは見ていない」とし、「次期政権で全面的な再検討が行われるべきだ」と述べた。