盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は昨日、閣議で「任期をすべて終えない最初の大統領にならないことを希望する」と述べ、状況によっては任期中に辞める可能性もあるという観測を生んだ。与党ヨルリン・ウリ党の金槿泰(キム・グンテ)議長は25日、「党・政・大統領府が一つになるか、中立内閣に向かうのか、12月9日までに結論を出してほしい」と最後の通知をするかのように大統領を圧迫した。李在五(イ・ジェオ)ハンナラ党最高委員は昨日、あるラジオのインタビューで「大統領が辞めれば憲法的手続きを踏んで、大統領選挙を繰り上げればいい」と話した。大統領の早期辞任も全く問題にならないという誘導発言だ。
ウリ党とハンナラ党、そして大統領府が互いに「脅迫戦」を繰り広げているようだ。盧大統領は「任期をすべて終えることができない大統領にならないように最善を尽くす」と付け加えもしたが、このような言葉を取り出したことがすでに間違っている。国政破綻の責任を他人のせいにしながら危機突破のために政界と国民に向けて脅迫するように聞こえるからだ。
大統領の昨日の発言は、与野党との摩擦で人事権行使と国政運営が思うように行かず、支持率が一ケタ(9.9%、ネイル新聞・ハンギルリサーチの調査)まで墜落したことによる挫折感の吐露であるかもしれない。しかし、その原因は、意地を張って民意を無視したことにある。今からでも理に従って懸案を解決しようという姿勢を示さなければならない。それなのに、また「大統領職が務まりそうにない」というふうに述べたことは、「弾劾の逆風」を想起しつつ「下野の逆風」を期待する賭けと読み取れる。
金代表と李最高委員が大統領をコーナーに追い込むのも国民の支持を得るのは難しい。金代表は「いつでも大統領と決別する用意ができている」と、李最高委員は「大統領職を務まりそうにないのなら、すぐにでも辞めなさい」とどやしつけるかのようだ。二人は国政破綻にわずかでも責任感を感じているのか、本人の位置で自らの役割を果たしてきたのか、自省から始めるべきだ。
大統領と与野党は今からでも元の場所に戻らなければならない。国民を豊かに暮らせるようにするのが国政であり、政治だ。各種の民生法案の処理、政策執行、人事などで捨てるものは捨て、妥協することは妥協すべきだ。大統領府と与野党が互いを非難しながら次期大統領の就任まで1年3ヵ月間、国力と国運を弱体化させることは国民に対する共犯の大罪だ。