「大統領府や教育人的資源部からの圧力があったと話したことはない」。ソウルでの国際中学校の設立を進めていた最中に突然計画を取りやめたヨンフン学園側の話だ。グローバル人材の育成を目指す国際中学校は、京畿道(キョンギド)と釜山(プサン)にそれぞれ1校ずつあるだけだ。孔貞澤(コン・ジョンテク)ソウル市教育監は「大統領府と教育部に哀願している」というほど、国際中学校のソウル誘致を切望していた。教育界では「ヨンフン学園が私立学校法への反対運動を展開していたため、憎まれているようだ」とささやかれている。
◆教育部は、全国教職員労働組合(全教組)と意気投合し、国際中学校の設立に反対してきた。高校平準化制度を揺さぶり、学校外教育を助長するという言い分だ。国際中学校がなくても「豊かな家庭」の子供は海外留学すればそれで済む。「貴族学校」になる恐れがあるから制限するとしているが、1年間の授業料が1万5000ドルを上回る米国の私立学校よりは安上がりのはずだ。英語習得を最優先する親たちは「養子縁組留学」という便法まで使っている。
◆盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の息子は、米国の大学で経営学修士(MBA)コースを受講している。「海の物語(パダイヤギ)」と関連し、与党の議員らが「世間では大統領の息子が韓国にいたら刑務所に入れるべきだという話まで出ている」と言うと、大統領は「だから息子を米国に行かせた」と笑ったという。しかし、「単なる隔離」のためなら、あえて米国まで行かせる必要はない。04年のフランス訪問の際、「韓国の経済はあまりにも米国流の理論に影響されていて心配だ」と話した大統領だから、欧州や自分と同じ路線を取る国家指導者のいるベネズエラに行かせる道もあったはずだ。にもかかわらず、渡米させた理由は、できれば世界最高のエリートになってもらいたいし、せめて英語でもマスターすることを願う普通の親のそれとさほど違わないだろう。
◆それなのに、国民は国内でさえ国際的な教育を受けられなくするのは偽善であり、二重基準である。自分の子供には米の飯を食べさせながら、他人の子供には「体に悪いから麦飯を食べさせろ」というのと同じ話だ。親の経済的事情のため留学できない「潜在的人材」は全教組から反世界化の洗脳を受けながら愚鈍化教育を受けたあげく、新既得権層の後始末ばかりさせられる運命になるしかないのか。
金順徳(キム・スンドク)論説委員(yuri@donga.com)






