金台鎬(キム・テホ)慶尚南道(キョンサンナムド)知事は04年7月、地方自治体長の補欠選挙で当選すると、道庁の幹部らに「慶南道庁が滅びる方法を各自で見つけるように」という宿題を出した。こうやって作られたのが「慶南敗亡報告書」だ。ひょっとして我々がこのような道を歩んでいるのではないか、常に警戒しようという趣旨だった。金知事は、また、執務室に地図を逆様に掛けた。太平洋と向かい合っている慶南道は、他のどの自治体より「世界を舞台に」思考し、準備する体質になるべきだという点を視覚的に強調するためだった。
◆金知事は、最近、全国公務員労組(全公労)と一騎打ちを行っている。法外団体の全公労の慶南支部常勤者に対して、業務復帰命令を下して、労組事務室の強制退去の戒告状も2回送った。最近、全公労が乙支(ウルジ)演習に反対すると、金知事は「大韓民国がどこに向かっているか、全公労が大韓民国の公務員なのか疑わしい」と批判した。金知事は、「大部分の公務員が大韓民国の砦として犠牲しているのに、全公労はわが国の正統性を揺さぶっている。このような行動に断固して対処しなければ、韓国に未来はない」と叫んだ。
◆選出職の自治体長は職業公務員とできるだけ仲良くしようとする。職業公務員の言いなりになりがちで、葛藤ができても正面で対立するより妥協しようとする傾向を示す。老獪(ろうかい)な部下らに騙されたり、後で裏切られるのではないか心配したりもする。職業公務員の手助けなしには再選・三選が簡単でないというのが一番重要な理由だ。このような点で金知事は最近、「バカのような行動」をしているわけだ。
◆しかし、愚かな人が事故を起こすものだ。愚公移山という言葉はそのためにある。争いが大変でも、見守っている目が多いから寂しいばかりではないだろう。全国には16の広域自治体があり、基礎自治体は234もある。全公労に法と原則で対応する知事体長が金知事一人だからと言って、残りの大多数の知事体長らが正しいわけではない。かえって、多数の卑怯さが鮮明なだけだ。日和見主義的な中央政府はもっと卑怯だ。
許承虎(ホ・スンホ)論説委員 tigera@donga.com






