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[社説]両極化、政治宣伝ではなく経済論理で解決を

[社説]両極化、政治宣伝ではなく経済論理で解決を

Posted December. 22, 2005 03:03,   

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政府と与党は、新年に両極化の解消に全力を傾けるとして、富裕層にさらに多くの税金を課すことを予告した。来年の経済成長率が5%台を回復する見込みだが、両極化現象で庶民の体感景気は悪くなると予想されるためだ。

最近、韓悳洙(ハン・ドクス)経済副首相は、来年の経済運用の方向を述べ、「経済回復にもかかわらず体感景気の改善が遅いのは、両極化の深刻化に起因した面がある」と述べた。そのため、「両極化の解消、景気回復の強化、成長潜在力の拡充」に、政策の力点を置くというのだ。李海瓚(イ・ヘチャン)首相が先週日曜日に、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の就任3周年を迎えて開かれた党・政・大統領府ワークショップで、「今後、残されたことは、両極化問題などの社会福祉分野に関することだ」と語ったのも、これと同じ脈絡である。

金融危機以来、相対的な所得格差が拡がったことは事実だ。特に、現政府が発足して3年間、低成長から脱け出せずに、中小企業や自営業の没落で、中産層の解体と貧困問題がさらに深刻になった。その影響で、崩壊した家庭から捨てられた子どもや貯蓄のない老人など、基本的な生計も維持できない疎外層が増えている。電気が止められた家で、ロウソクで生活していた子どもが、火事で死亡するという惨劇まであった。極貧層を減らすための社会安全網の強化は、緊急の国家課題に違いない。

しかし、両極化の原因が、上位2%の富裕層のためであるかのように決めつけて、彼らに重課税することが正義と主張する「ロビンフッド式」の発想は、政治的煽動としては効果的かもしれないが、両極化の解消にはかえって逆行する結果を生みやすい。

与党のワークショップで、ヨルリン・ウリ党の朴映宣(パク・ヨンソン)議員は、「企業のサイフは暖かくなったが、庶民はそうではない」とし、「富の偏向現象は、参加型政府が分配を疎かにしたためだ」と主張した。李穆熙(イ・モクフィ)議員は、「両極化の解消と成長のために、中長期的に税目の新設や累進税の強化などに対する国民の同意を得なければならない」と述べた。不動産富裕層2%を対象に「超精密税金爆弾」を投げようとする政府与党の不動産対策も、このような発想から出た。

グローバル経済時代には、世界的競争で先に進む国家、企業、個人が、当然のこととしてより多くの富を占める。三星(サムソン)と現代(ヒョンデ)が創出した利益は、国内の貧困層を搾取した結果ではない。価格競争力と品質競争力で世界市場で勝ち残り、世界の消費者たちから補償を得たものだ。

このような企業と富裕層に対して、罰を与えるかのように重い納税を強要することは、「企業にやさしい環境、投資したい雰囲気」づくりとは正反対の「投資妨害」である。外資誘致どころか、国内企業すら海外に追い出す結果を生む。これは結局、雇用を減らし、労働意欲を下げるだけでなく、貧困層の自立意志を弱め、窮乏化の拡散につながるだろう。金持ちを引き降ろすやり方の格差解消は、下向きの平等化を生むだけだ。

成長を促進できず、分配を強調する政治的行動と政策は、両極化を緩和するよりもむしろ深化させるという点を自覚すべきだ。これは、世界的・歴史的経験が示す事実である。また、現政府3年の間にも、ほぼ立証されている。盧政府は、適時に景気のテコ入れができなかったことを「人為的テコ入れはしない」という言葉で弁明してきたが、中産層が庶民になり、庶民が貧困層になる結果をもたらしたことが、厳然たる現実である。

むろん、競争から脱落した企業や個人に、経済的再起の機会を与える政策は必要である。しかし、このために、税金を無制限に引き上げては、経済全般において、利益よりも損失のほうが大きい。税金が多い所では、投資と消費がい縮するためだ。世界各国が少ない税金で支出効果を極大化する「小さく効率的な政府」を追求する理由も、ここにある。

政府がより力点を置かなければならないことは、過去の雇用バブルを支えてきた国家主導の経済開発体制に取って代わる新しい雇用創出構造を作り出すことだ。景気の上昇局面で、政治的分配論理によって、来年の経済を低成長の沼に落とし入れてはいけない。投資と成長に障害となる不合理な制度と規制を廃止することに専念すべきである。

韓副首相が主張した教育と職業訓練の強化も、両極化の解消に役に立つだろうが、失業者を量産する供給重視の教育システムを根本的に改革することが、急務である。特に重要なことは、正規職と不正規職の賃金格差を解消し、経済全体の生産性を高めるために、労働市場を柔軟化させなければならない。