我々の献立で欠かせない代表的な食べ物がコチュジャン（辛子味噌）とテンジャン（韓国味噌）だ。コチュジャンがやや辛くてカラッとした味がするとしたら、テンジャンは香ばしくて土俗的な味で、我々の味覚を楽しませてくれる。テンジャン特有の長所を五徳としてまとめた文献もある。他の味と混ぜても本来の味を失わず（丹心）、長期間腐らないし（恒心）、油の匂いを取り除き（仏心）、辛い味を柔らかくし（善心）、どんな料理とも調和を成す（和心）ということだ。
◆こうしたテンジャンは食品としてだけでなく、民間治療剤としても長い間我々に愛されてきた。今は殆ど消えたが、数年前までも子どもが怪我をしたり、蜂に刺されたりすると、傷にはテンジャンを塗った。数日立つと、かさぶたができて直ったものだ。我々の祖先は、明確な科学的根拠は知らなかったが、テンジャンが皮膚疾患に効くことを体験的に知っていた。
◆テンジャン礼賛論者たちはテンジャンのことを「世界で一番香ばしい補薬だ」と褒め称える。血液の流れを円滑にしてくれるほか、様々な成人病を予防し、解毒作用があって、お酒やタバコ、重金属の毒性を中和させてくれるという研究結果も出ている。毎日、テンジャンのスープを食べる人は胃がんになる確率が低いという報道もあった。世界最長寿国の日本の場合、我々のテンジャンと成分の似ている「味噌汁」や「納豆」をよく食べるので、長生きする人が多いという話まである。
◆最近、テンジャンには肥満を解消するのに優れた効果があるという研究結果を、釜山（プサン）大学食品栄養学科の朴コンヨン教授チームが発表した。体重１４３ｇの実験用マウスに１ヵ月間高脂肪の食べ物を食べさせたら２８７．４ｇまで体重が増えたが、味噌を混ぜて食べさせたマウスは２４６．６ｇだったという。最近流行っている「チョングクジャン（韓国式納豆汁）ダイエット」が、それなりに一理あるというのが立証されたわけだ。韓国外交が厳しい局面に置かれている現在、韓国テンジャンには韓流商品として世界中に広がってほしいものだ。テンジャンに感謝したい。
宋煐彦（ソン・ヨンオン）論説委員 youngeon@donga.com
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