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[オピニオン]7年がかりのタルムード読み

[オピニオン]7年がかりのタルムード読み

Posted March. 04, 2005 22:49,   

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「世の中をつくるのは男だが、その男をつくるのは女だ」。「財産が多くなると心配事も増える。しかし、財産がなければ心配事はさらに増える」。ユダヤ人の律法書『タルムード』にある言葉だ。笑いを誘いながらも的を射た生活の知恵が綴られている。そのこともあって韓国では、世間渡りのアドバイスブックとして今も着実に売れている。しかし、タルムードはユダヤ人にとっても近寄り難い書といわれる。2711頁もあるので、宗教家でもない限り、最後まで読み終えるのはなかなか難しいためだ。

◆この膨大な書物を世界中のユダヤ人が毎日1頁ずつ(Daf Yomi)読むと仮定しよう。すると、7年半もかかる長丁場になる。1923年ポーランドでシャピロという律法学者が、タルムードをより多くの人々に読んでもらおうと、このようなゆっくりとしたペースで読む「緩読」運動を思いついた。もう既に10回目の緩読が終わり、1997年9月29日からスタートした11回目が2日終わり、これを祝う催しがイスラエル、米国、ヨーロッパだけではなく、中国でも開かれた。「マラソンのようなチャレンジ」、「2711日間の霊魂オデッセー」、「大脳皮質が変わった」といったさまざまな賛辞や感激があふれ出た。

◆どこにいようが、何をしようが、どんな苦境にあろうが、同じ日に同じ内容を読みながら、ユダヤ民族が感じていたはずの仲間意識や霊的な満足感が想像できる。ノーベル賞受賞者のうち、経済学賞の65%、医学賞の23%、物理学賞の22%をユダヤ人が占め、米国人口のわずか2%しかいないのに、上位富豪400家族の24%もユダヤ人が占めている背景には、タルムードの力があるかもしれない。アラブ圏はもちろん、ヨーロッパでも反ユダヤ主義が頭をもたげているのは、それに対する警戒心の表れのように思える。

◆宗教家でもない人々が経典を、もしくは民族の義務として伝来の古典を毎日続けて読まなければならないとすれば、それは苦になるだろうが、知的訓練をも兼ねてみんなで「同時読書」をするのは楽しそうだ。みんなですると、拘束力も生まれるので難文も読み終えることができる。家族で、離れているけど愛し合う人同士で、好きな本や詩を毎日1頁ずつ読み続ける光景は、実に美しいものだろう。

金順徳(キム・スンドク)論説委員yuri@donga.com