皆がうらやましがようなことが結果的に不幸を呼び、慰められていたことがむしろ後日福に変わる場合がある。「塞翁が馬」は昔の中国の辺境に住んでいたある老人の話ではなく、東西古今を越えていつどこでも適用される真理である。とりわけ、ロトに当たり、「ヤッホー、福よ来い」が後日談によると「やれ、災い来たし」のケースが少なくない。ロトに当たると「人生逆転」と言われながらも、時には「不幸の始まり」の序曲になったりするのだ。
◆結婚を前提に同棲していたカップルがロトに当たった後、女性が行方を暗ましたために男性が返還訴訟を起すという。このように同棲していたカップルはもちろん、数十年間同じ床の夫婦と長い間培ってきた友情を壊すのがこのロトの「威力」である。ある在米韓国人女性は1993年当時、米国のロト史上最高額の1800万ドルに当たったが、8年でその大金を使い果たして裁判所に破産申し込みをした。実際に「財が転んでくると、必ず災いも釣られて来る」として、ロトなど見向きもしない人もいる。
◆日本では最近、大きな水害を被った福井県の知事の元に匿名の篤志家が、2億円に当たった宝くじ1枚を水害義捐金として使ってほしいと送ってきて話題を呼んでいる。韓国では親睦のための集まりで5人が共同でお金を出してロトを買ったが、その1枚が1等に当たり、公平に賞金を分けて共同で少年少女家長を助けるために基金5億ウォンを快く出したこともある。貧しい兄が秋夕(チュソク、旧暦の8月15日)の贈り物に食堂の従業員をしている弟に買ってあげたロトが1、2等に当たって18億ウォンをもらうと、弟は1億ウォンだけ自分がもらい残りは兄にあげ、兄がこれを家族に分け隔てなく分配したという美しいエピソードもある。
◆米国のある新聞が1000万ドル以上の賞金に当たって10年以上経った人たちを対象に調査した結果、「以前よりもっと不幸になった」と答えた人が64%に達した。「以前と変わらないか、もっと幸せになった」と答えた人は、ほぼ例外なく以前と同じような生活水準を維持したり、賞金の相当部分を社会団体に寄付した人たちだったという。ロトに当たる確率が814万分の1だというのだから、強いて言えばロトに当たらなくて不幸にならなかっと胸を撫で下ろすべきことではなかろうか。
呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com






