2002年6月の地方選挙で、3期連続当選を果たした自治体首長が43人誕生した。3期目の当選を果たした自治体首長の中には、任期を全うしないうちに、来年の総選挙出馬を目標に動いている人たちが少なくない。再任は、3期までと限られているからである。10年近く地方行政の第一線で住民たちとの交流を保ちつつ、組織力と得票力を固めてきた自治体の首長たちの動きについて、現役の議員たちは緊張せざるをえない。沈大平(シム・デピョン、忠清南道)、 李義根(イ・ウイグン、慶尚北道)、 金爀珪(キム・ヒョッキュ、慶尚南道)など、広域自治体首長らの動向は、一層注目の的となっている。沈大平知事は、総選挙に出馬して党に貢献してほしいとの期待にもかかわらず、このほど不出馬を宣言した。李義根知事は、今のところ、これといった動きは見せていない。
◆金爀珪知事は釜山(ブサン)大学を卒業し、昌寧郡(チャンニョングン)の邑面事務所で、5級乙(現行9級)の公務員生活を始めた。金知事は邑面事務所から昌寧郡庁、慶南道庁を経て、わずか6年で内務部本部入りを果たすといった執念の持ち主。しかし、小さな成功に安住せず、わずか1000ドルを携えて米国に渡り、露天商から始めて、カバン事業で人生の転機をつかんだ。金知事は「ヒョク(爀)トレーディング」社を設立、腰につけるカバン「ベルトパウチ」を売り出し、ヒット商品に仕上げた。昔の行商人だった「ボブ商」たちが使っていた、腰にぶら下げる纏帶(ジョンデ)からヒントを得たという。
◆ニューヨークの韓国人社会で、カツラ事業で成功した朴智元(パク・チウォン)元大統領秘書室長が、湖南(ホナム、全羅南北道の別称)人脈の大御所だとすれば、カバン事業で富を築いた金知事は、釜山・慶南(PK)人脈の大御所だ。金知事は、ニューヨークでニューヨーク民推協を結成、民主化運動を後援し、金永三(キム・ヨンサム)元大統領のもとに入り、大統領府査定・民情秘書官を経て、官選の慶南道知事に任命された。官選と民選を合わせると、4期目を迎える道知事である。金知事は「株式会社慶尚南道」の最高経営責任者(CEO)を自任しながら、昨年、ハンナラ党の大統領候補党内選挙では「大韓民国のCEO」を試みたが、志半ばで夢敗れた。
◆ハンナラ党は、党籍を移した金知事に対し「裏切り者」、「変節者」、「工作政治の産物」などと極言を浴びせた。ハンナラ党の牙城である地元慶南地域の雰囲気も良い方ではないという。金知事の党籍変更は、PK攻略に党の運命をかけたヨルリン・ウリ党の執拗な説得作戦が作り出した作品だといえそうだ。ウリ党の方から「大韓民国のCEO」を夢見る金知事の野心を刺激したとの話も聞こえてくる。しかし金知事は地方選挙で、氏の党籍をみて指示した住民の期待を裏切ったうえ、4年任期の半分も務めきれずに辞退しようとしている。金知事の、こうした選択に対し、慶南道民たちがどのような判断を下すのか、帰趨が注目される。
黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員 hthwang@donga.com






