「お願いします、この腕を放してください」
「パスポートと身分証明書がないので一応保護所へ行って身分を確認しなければなりません」
不法滞在外国人労働者に対する大々的な合同取り締まりが始まった17日の午前11時半。
ソウル永登浦区大林洞(ヨンドゥンポグ・テリムドン)の中国同胞居住地域でつかまって警察バスに連行された金さん(60、女性)が合同取り締まり班ともみあいながら泣き叫んだ。
金さんはやはり不法滞在者である娘が逃げ出してしまったことに恨みを抱いた婿の申告で検挙された。金さんは「飛行機代さえなくて本国に帰れずにいたところ、娘さえ逃げ出してしまったのに私にどうしろというんですか」と涙声で話した。
ほぼ同時刻、京畿道安山市(キョンギド・アンサンシ)のある中華料理店。取り締まり班が入るや、朝鮮族の従業員チェさん(39)が底に座りこんで「くやしい」と訴え始めた。
「申告をしなければならないということを知りませんでした。私はただ職場を変えただけですよ。他の人に被害を与えてもいないのにどうして追い出されなければならないんですか。」
チェさんは勤務する中華料理店をかわって申告をしなかったため、「勤め先無断変更」で取り締まり対象となった。勤め先無断変更も強制出国の対象。少なくない外国人労働者たちが申告なしに職場を移したという理由で取り締まり対象となった。
全国的に法務部の職員と警察など50班の400人が投入されたこの日の取り締まりは人権問題に対する世論の批判を考慮して、滞在者の宿所や工場は避ける代わりに食堂と風俗店、路上検問を中心に行った。
しかし、12万人にのぼる不法滞在外国人たちが取り締まりを避けて影をひそめたため取り締まりがまともに行われなかった。
出入国管理局のソウル事務所2班はこの日正午から九老区梧柳洞(クログ・オリュドン)と永登浦区大林洞一帯のモーテルと食堂を中心に取り締まりを行ったが、未申告外国人をほとんど見つけることができなかった。京畿道高揚(コヤン)、坡州(パジュ)、議政府市(ウィジョンブシ)など10の市・郡では4000〜5000人余りの不法滞在外国人がいるものと推定して風俗店や食堂を中心に取り締まりに出たが、午後までにろくな結果を出すこともできなかった。
普段、外国人が多く住む町は住宅の壁には「入居者を探します」という張り紙が貼ってあった。
憂慮したとおり、にせ物の外国人登録証も登場した。安山(アンサン)のあるプレス工場で働くインドネシア人など2人はこの日、にせ物の外国人登録証を作って取り締まり班に摘発された。彼は「社長がにせ物登録証を渡して『これを持ち歩くと安心だ』と話してくれた」と語った。
実際、大々的な取り締まりが行われるとしても収容施設の不足が問題だ。現在、用意された全国16ヵ所の収容施設はかろうじて1300人余りの外国人しか収容することができない。法務部もこれを考慮して、これから10日間1300人余りの外国人を取り締まって、摘発するという内部方針を立てた。
出入国管理局ソウル事務所のムン・ファチュン調査3課長は「収容された不法滞在外国人をできるだけ早く出国させて、その後取り締まりで摘発された外国人を余裕のある収容所に収容させる方法で施設不足の問題を解決する」と述べた。
一方、法務部は、不法滞在外国人の合法化受付期間である9月から今月15日までに2万3441人の取り締まり対象の外国人たちが自ら出国しており、現在不法滞在者は10万人余りの水準だとこの日明らかにした。






