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[オピニオン]進上品 

Posted August. 19, 2003 21:58,   

甘くてパサパサしていることで有名な忠清北道報恩郡(チュンチョンブクド・ボウングン)の俗離山(ソクリサン)の黄土サツマイモが本格的に出荷されている。海抜200mの越える準高山地帯の黄土で栽培されたこの無公害サツマイモは、休暇のため駙南臺(チョンナムデ、大統領の別荘)に来ていた金大中(キム・デジュン)前大統領がその味に魅了されておやつとしてよく食べるといううわさが広がって有名になった。このサツマイモを栽培している報恩郡炭釜面(タンブミョン)サジク里の25軒の農家によると、金前大統領が駙南臺に来るたびに、道や郡がサツマイモを購入してプレゼントし、大統領府もしょっちゅう買っていったという。現代版進上品というわけだ。

◇昔から韓国では、国の節日と慶事に、中央と地方の責任者がお祝いの意味で君主に土産物を捧げた。初期には素朴な「礼献」の性格が強かったが、徐々に税納として制度化された。項目も物膳、方物、祭享、薬材、別例進上と細分されていた。普通地方官は一月に1回ずつ進上品を捧げたが、朝廷に近い京畿道(キョンギド)は毎日のように捧げなければならなかった。首領と下級官吏の「配逹事故」も少なくなかった。北朝鮮には今日までこうした封建残滓が残っていて、「忠誠の贈り物組」と呼ばれる進上品組があって、熊の肝と山の人参、麝香ノロの臍などが最高の進上品に挙げられるという。

◇こんにち、各地方自治体が特産品に挙げる品目のほとんどが昔の進上品だ。ヨジュ、利川(イチョン)、金浦(キムポ)のお米、公州(コンジュ)のせりと鯉、閑山(ハンサン)の細麻、蟾津江(ソムジンガン)の鮎、済州(チェジュ)地元の黒韓牛とあわび、霊光(ヨングァン)の干乾し石首魚、盈鄹(ヨンドク)の大蟹、錦江(クムガン)のしな藻屑蟹、智異山(チリサン)の複盆子酒と柿、看月圖(カンウォルド)の牡蠣の塩付け、珍島(チンド)の紅酒、蔚珍(ウルジン)のゴポわかめ、九龍浦(グリョンポ)グァメギ、淳昌(スンチャン)コチュジャン、邊山(ビョンサン)の貝、襄陽(ヤンヤン)の松茸、幸州(ヘンジュ)のえつと黄ふぐ、無等山(ムトゥンサン)すいか、羅州(ナジュ)梨などがそれだ。現在でもその命脈を維持している特産品もあれば、えつのように珍しくなったものもある。とにかく体に良いとされるあらゆる特産品を食べた朝鮮時代の王の平均寿命がわずか44歳だというからアイロニーだといわざるを得ない。

◇この前、大統領第1付属室長が忠北清州市(チョンジュシ)に足を運んで「不適切な酒席」に付き合った後、大統領家族に渡してくれと頼まれて大統領官邸の倉庫にしまっておいてトラブルを起こした菊枕も一種の進上品だと言える。「箱詰め」でお金をもらう大統領とその家族にとって、サツマイモと菊枕のような進上品にはそれで人情というのが溶け込んでいる。菊枕はマスコミに報道されてから通常の20倍の売れ行きを見せたそうだ。大統領と政府が国民の愛情と支持をもっと多く受けていたならば、さらに多く売れたかも知れない。

吳明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com