中国政府が首都の北京をSARS(重症急性呼吸器症候群)の危険地域に分類したことにより、留学生や商社駐在員の家族らが相次いで帰国するなど、現地の韓国人社会が大きく動搖している。
SARS患者が発生し、一部の学科が休講になっている北京大学の修士課程に所属するキム・ヒョンウさん(27)は、「留学生の半分以上が、韓国の父母から心配の電話を受け、帰国を決心したと聞いている」と話した。また北京のある大学のチャン・ソンムン(31)さんは、「学校側が学費の一部を返すと言ったので、韓国へ帰ることを決心した学生が多いようだ」と語った。
天津は、以前SARSの安全地帯だとの発表があったが、21日に2人が死亡し、留学生たちも大きく動搖している。天津医科大学・博士課程のイ・スンジュン(30)氏は、「学部・修士・博士課程の留学生たちはまだ決心できずにいるが、語学研修生たちは帰国の便を調べているようだ」と話した。
中国の韓国大使館側も21日から留学生の非常連絡網を作成し、学事日程にこれといった支障がない限り、帰国するように勧めている。
大韓航空とアシアナ航空の北京支社側は、「21日の1日で今週の予約がすべて終わり、22日にも問い合わせの電話が殺到している。帰国の便を予約した留学生は1000人ほどになるだろう」と説明した。
商社駐在員の家族の帰国も増加している。韓国輸出入銀行は、先週末に家族の帰国を決定し、SK、LG、KT(旧韓国通信)などは中国本部長の裁量で、職員の家族が帰国できるよう措置を取った。
しかし、個別的に家族を韓国に帰国させる駐在員も増えている。
ある企業の幹部は、「子どもが通っている中国系中学校は、学校に行かなくても欠席と扱わないので、会社の指示とは別に、家族を一旦帰国させることにした」と話した。
大使館側も、他国の公館の動きを注視している。
中国の米大使館は、非必須メンバーと家族に帰国するように指示しており、日本大使館も個人資格のビザ申請は受け付けていない。またカナダ大使館は、職員の50%が在宅勤務中であり、移民関連の業務を一時中止している。
一方、中国衛生省は、21日現在のSARSによる死者は92人、感染者は2001人と発表した。北京は同日現在で25人が死亡、482人が感染したとされ、20日に衛生省が発表した時より死者は7人、感染者は143人増えている。
また、SARSが流動人口の多い都市地域から山西省、甘粛省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、新彊自治区など、保健施設が劣悪な農村地域へと広がる兆しを見せており、中国の衛生当局が緊張している。
yshwang@donga.com






