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[オピニオン]下山

Posted February. 26, 2003 22:30,   

山では当然降りるより登る方がもっと大変なのであるが、しかし「降りる時に気を付けなさい」という言葉が警句のように伝えられる。それほどきつくなくても降りる時にけがをしたり、事故にあったりすることが、もっと多いために気をつけろという意味だ。高くて険しい山を登る専門の山岳人でないとしても、山登りを楽しんでいる人なら誰でも知っている常識のような話だ。頂上に登った気持ちに気が緩んで、下山の時に災いにあう場合が多い。この前、中年の兄弟夫婦が雪に覆われた山に登った後、下山の時に犠牲になったのもその例だ。

◆専門家たちは山に登る時と、降りる時の方法が違うと言う。登る時は心臓に負担が大きく、降りる時は膝の関節に力が集中されるため、心臓や膝の弱い人は特に気を付けなければならない。 一般の人も直線に登らず、できるだけS字の形でくねくねと行くのが良い。降りる時は硬い岩よりは衝撃の少ない土を踏みなさいと言う。

就任してまもなくは、天を突くように人気が高かった大統領が、任期末に誰もが困っているのを見ていると、世の中の理もこれに似ているような気がする。当然、上り下りのある経済も急激な上昇や下落は禁物だ。出来るだけ衝撃を和らげて軟着陸するのが経済政策の目標ではないのか。

◆アマチュア初心者にも山登りの喜びは頂上を征服した瞬間に一番大きい。それで小さな山でも、登り始めてから心は自然にときめいて、急ごうとするに決まっている。ましてや権力の頂上である大統領においては、なおさらだ。頂上に向けて進む瞬間ごとに不屈の意志と力が湧いてくるだろう。しかし、山登りをはじめから急いぐと、すぐ力が抜けて頂上に登りにくくなるように、権力も急に振り回せば、すぐ副作用が現われる。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が昨日、初の大統領首席秘書官会議で「政権が発足すれば司正活動がにわか雨のように一斉に行われるきらいがあって、国民は日常のことではない政権初期の現象とみる可能性が大きい」と指摘したことは、「性急な山登り」の副作用に対する心配ではないだろうか。

◆山登りを楽しんでいる政治家たちは、世の中のことを山に比喩したり、山登りをしながら本音を現わしたりする例が多い。一昨日、盧大統領の就任式で山登りが好きな金永三(キム・ヨンサム)元大統領がこう話した。彼は「大統領5年はあっという間に過ぎてしまう、と金大中(キム・デジュン)前大統領にいつもそう話してきた。概して山から降りる時にけがをするので気を付けなさいと言ったが…」と話した。金永三氏が金大中氏にアドバイスする資格があるのかどうかは考えてみるべきだが、たとえ大統領でなくても誰でも肝に命じる言葉であることに間違いない。

朴永均(パク・ヨンギュン)論説委員 parkyk@donga.com