金大中(キム・デジュン)大統領は12月6日にノーベル賞創設100周年を迎えてノルウェー・オスロで行われた平和賞シンポジウムで、「対話と協力で平和を実現しよう」という趣旨の演説をした。金大統領は、もはや「コネの腐敗コネクションを一掃する」と話すべきだ。世界平和の実現よりも、いたるところで腐るに腐った国の患部を取り除き、国民の怒りと虚脱感をなだめることが急務だ。
11月8日、金大統領は民主党の総裁職から退いて、国政に専念することを約束した。だが、約1ヵ月過ぎた今、金大統領が述べた国政への専念が何を意味しているのか、さっぱりわからずじまいになっている。国政刷新、人材刷新の話も引っ込んでしまった。まるで、大統領が政権党の総裁を辞任したことが、国政刷新のすべてであるかのように、これと言った後の措置を取らずにいる。
そうした中、辛光玉(シン・クァンオク)法務部次官の「1億ウォン収賄」疑惑が報道された。ベンチャー企業の詐欺師が自分への巨額な不法貸出を大目にみて欲しいとして、政権与党とつながりを持つ政治ブローカーを通じて、当時の大統領民政首席秘書官だった辛次官に巨額の資金を渡したというものだ。「一銭でも受け取っていたら、腹を切って自殺する」と言っていた辛次官は、昨日辞表を出して現職から退いた。
だが、今回の事件は単に、「だれが偽りを述べているのか」を明らかにすることではない。「 陳承鉉(チン・スンヒョン)ゲート」は1年前検察が十分な捜査をしないで見逃したという疑いを受けている事件だ。検察が事件を見逃したのには、国家情報院(国情院)第2次長が絡んでいるという「疑い」も依然残っている。再び事件が表沙汰になり、「だれがだれを切り落とそうとしている」という権力内部の「背後陰謀説」まで、まことしやかにささやかれた。与党の核心勢力が含まれた「陳承鉉リスト」説も再び水面上に浮かび上がった。国情院、検察、与党の核心勢力に大統領府まで関わった最悪の権力型腐敗と言える。それだけではない。「李容湖ゲート」も、「鄭鍱逷(チョン・ヒョンジュン)ゲート」もある。すべて、互いにコネを求めて、互いに自分の分け前を取って見逃したりした、悪臭をにおわせる集団腐敗のモデルケースである。
改革を叫んでいるその鼻先で、権力型不正疑惑が繰り返されたのでは民心を得ることはできない。こうした状況下で、金大統領は口を閉ざしているのだから、いったい何が国政にどう専念するというのか。金大統領はまず、国民に謝罪すべきだ。そして、「陳承鉉ゲート」の徹底した捜査を検察に強く指示しなければならない。権力機関の人材刷新のために必要なら、国情院長、検察総長の更迭もちゅうちょしてはならない。






