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[オピニオン]諦めたか国家長期発展

Posted October. 26, 2001 09:40,   

「三星(サムスン)半導体すら…」。

これは数日前三星電子半導体部門が第3・4半期に3800億ウォンの営業赤字を計上したことを報じた東亜日報経済面記事の見出しだ。韓国を代表する企業である三星電子が、これまで黄金の卵を産んできた半導体部門が13年ぶりに赤字に転じたという衝撃をよく表している。

しかし、この見出しが私の胸を鳴らしたのは、単に企業の実績が悪くなったという表現を超えて拠り頼りの大黒柱が倒れてしまったような絶望感、儚さがあったからだ。

実際、半導体は去る10年間韓国経済を支えてきた大黒柱だった。半導体輸出は通貨危機を克服する過程においても大きく貢献した。世界を舞台に堂々と羽ばたく我が半導体技術の姿は国民の誇りでもあった。

このような成長韓国のシンボルだった半導体が厳しいというニュースが、ただですら政治や社会問題で気落ちしている国民にも伝わったのだ。弱り目にたたり目と日本メーカーは韓国産半導体を相手とってダンピング提訴を準備中だといい、鉄鋼製品は米国で産業被害判定を受け輸出ができなくなるかもしれないという。真に「お前すら…」という嘆きとともに「果たして韓国にビジョンがあるだろうか」と問い掛けたくなる。

しかし、こうした状況は早くから予測可能なことだった。時期が思ったより早められただけであって、今のような少品種大量生産中心の半導体産業と鉄鋼産業は、近々中国のような後発走者に追越されて厳しくなるであろうことは、専門家らは皆予想していたことだ。ところが、こんなにも知り尽くされている試験問題の答えを見出せず、立往生している間に試験時間が終わったようなものだ。いや、実際は周りが余りに騒がしいすぎて試験に集中することができなかった、と言った方が正しい。全国民が知恵を絞っても解けるかどうかの難題なのに、なんとかゲートやらロビー疑惑やらで気を奪われ、いざ国家の将来がかかっている大事なことには気を配れなかったからだ。

無論、本日の半導体や鉄鋼産業の置かれた厳しい状況は、景気サイクルや米国、日本の政治的判断によって短期的には改善されるかもしれない。しかし長期的な問題は依然残る。半導体と鉄鋼産業で中国に押された場合、韓国はどうやって生き延びるのか。世界で高いレベルの生活をしているスウェーデンやスイスのようないわゆる強小国は、競争力のある幾つかの産業で付加価値を高めている。しかし、我々は将来、半導体や鉄鋼に取って代わるような国際競争力のある産業はまだ育っていない。民間の力で足りなければ国が進んでその環境作りに励むべきであるが、政治指導者らは目前の泥仕合に巻込まれて、そのようなことに関心がない。公務員も動こうとせず国の長期発展戦略も漂流しているわけだ。

その一例として7月に発効された科学技術法に基づいて向こう5年間の国家研究開発に関する基本計画を立てることになっているのだが、かつて経済開発5ヵ年計画を立てる時の熱意や苦心の跡などは見られない。

知識基盤社会で競争力ある産業を育てるには、その分野での研究開発能力が不可欠という事実を思うと気が重くなるばかりだ。

世界は日々変化している上、韓国は先進国と後発途上国のはざ間で苦しい状況に置かれている。

このような困難を克服するための国レベルでの戦略樹立と政策施行が急がれるというのに、政界は国民の力量を集中させるどころか、誤ったビッグディール(事業交換)政策で半導体技術の中国移転などを推進している。ハイニックス半導体はすでに膨大な国民の負担となっている。万が一、中国に中核技術を売るとなれば国家競争力に致命的な損傷を与えかねないというのに、誤った政策に対しては誰一責任を持とうとしない。実際、なんとかゲートといった不正疑惑などは「大様に」考えれば家門の財貨を家族同士で誤った分け合いをしたことで済まされるが、ビッグディルなどの間違った政策は家門の糊口の策を丸ごと他人に譲り渡すようなものだから、問題はより深刻なのだ。

呉世正(オ・セジョン)ソウル大教授(物理学、本報客員論説委員)