先月の輸出額が去年7月の実績を大きく割り込んだ。それも輸出入の統計を取り始めた67年以来、最悪の下げ幅となった。韓国経済は大小の困難に見舞われてきたが、史上最悪の後退を示したとは、信じられない。これまで、我々が漠然と憂慮していた問題が次第に現実のものになりつつあることを意味する深刻な警告だとも言える。
政府は先進国経済の低迷による半導体部門の不振が輸出減少の主な原因だと分析している。
その原論的な分析が間違ったものではないが、通貨危機に見舞われる直前の輸出不振の時と、政府の説明が一致してるのは懸念すべきことだ。政府は最近になって、輸出不振の原因として世界景気の後退を強調し続けているが、その言い訳を聞くのもうんざりだ。
通貨危機の直接的な原因の一つが半導体輸出の不振による貿易赤字であり、政府がその対策をまとめて実行に移すと宣言してからすでに4年近くが過ぎたが、変わったものは何一つない。世界景気が減速感を強めていることは否めない事実だが、このような状況の中でも、隣の中国の輸出は毎年10%近くの大きな伸びを示している。
貿易収支が何とか黒字に転じたものの、輸出が減少した分、輸入も急減した結果にすぎず、今後の動向に対する憂慮は倍増する。設備投資向け機材の輸入が激減しているとの分析は今年の新規投資計画がないという企業各社の調査の結果と一致するもので、短期間で国内景気が回復する可能性がほとんどないことを示すものだ。
短期的に政府が選択できる政策の幅が限られていることは理解できる。しかし、だからといって減り続けている輸出を放っておくわけにはいかないのだ。基本的に政府と各経済主体がともに努力し、危機の克服に力を入れなければならない。
まず、政府は企業活動の障害となっている規制を思い切って撤廃し、経済人の企業経営への意欲を奮い起こさなければならない。今は企業を監視し、牽制する機能よりは投資を促すことが急務だが、政府の一部で規制強化を求める声が出ているのは、理解し難い。
中身のない口先だけの通商交渉本部の役割も見直しが求められる。企業も不断の構造調整で自ら国際競争力を付ける努力を傾けなければならず、この過程における労使の融和は双方に与えられた時代の使命でもある。
輸出減少が内需の落ち込みに繋がる場合、韓国経済は悪循環の出発点に立たされかねない。
政府は第3・4半期からは経済が上向くといっていたずらに国民に希望をもたせようとせず、現状の深刻さを正しく伝え、経済主体の協力を求める姿勢を示すべきだ。






