政府の高位当局者らの発言に問題があるとの指摘は、政府内からも浮上しつつある。金庫の関係者らは、信用金庫の取り付け事態は政府が火を付けたものだと主張している。
実際、政府当局者の発言が続出してから、預金者の戸惑いは始まった。後で出た対策も不十分だったので、不安を払拭するには至らなかったとの指摘だ。
これを受けて政府は、銀行の自律に委せると合併になりにくいため、望ましい方向に導くほかないとの主張を繰り広げている。
▽信用金庫の流動性危機は政府の責任
青瓦台(大統領府)の李起浩(イ・キホ)経済首席は2日、「トンバン(東邦)金庫やヨルリン金庫と類似の金融事故がもう1、2件あるだろう」と発表した。
李瑾栄(イ・グンヨン)金融監督委員長も6日の国会政務委員会で「14行の信用金庫に対して取り調べを実施しており、1、2行で事故が発生する見込みだ」と答弁した。
李首席と李委員長の発言を受けて、東亜(ドンア)などの優良金庫で大規模の取り付け騒ぎが起り始まった。業界2位の東亜金庫は8日、自ら営業停止を申し込んでしまった。
A信用金庫の社長は「来年から施行する預金部分保護制度に備え、300億ウォン程度の現金を準備しておいたものの、預金の取り付け事態のためにもうこれ以上はもてない実状だ」と明らかにした。
信用金庫の業界は、金監院が10日、「信用金庫に1兆ウォンを緊急支援する」と発表したことに対しても不満である。
同日対策を発表した金相宇(キム・サンウ)副院長補が「2行の金庫が営業停止になる可能性がある」と述べ、信用金庫に対する不安を扇いだとの指摘もある。また、営業停止の期間でも預金保険公社が500万ウォンまで支給することについても不満だ。B金庫の社長は「信用金庫の預金は全額保護対象であるため、預金保険公社に限度に関わらず支給するとの一言さえ言ってもらえば取り付け事態は収まるに違いない」と主張した。
▽優良銀行の合併と不良銀行の年内整理
李瑾栄金監委長は8月就任した当時から「優良銀行間の合併が迫っている」との話を続けてきた。9月には10月に「合併発表がある」と述べたのが、10月になると11月にずらし、また、11月には再び12月に先送りした。しかし、12月11日現在まで、優良銀行間の合併は依然、説として出回っているだけである。
合併業務を担当しているある銀行の職員は「金監委長が銀行の合併に関して時限を提示することはあり得ないことだ」と指摘した。
ハンミ銀行合併の主導権を握っている大株主のカライル側の関係者も「銀行合併は株主の価値を高めるために行なうことであって、政府の政策に従うために行なうものではない」と主張した。
ハンビッ銀行などの不良銀行に公的資金を大挙投入して年内に優良銀行として生まれ変わるようにするとの公言も不透明な実状だ。「金融持ち主会社として制限する」との既存の方針が、「不良地方銀行を優良銀行に統合させる」方向へと変わったため、一部優良銀行の不満を買っている。
▽政府関係者の発言
金融政策は市場に合わせて取り組まなければならない。市場は時々刻々と変わり、環境も変化する。
金融市場政策の一貫性は、市場に合わせるか否かにかかっている。表現の仕方を問題にして、表現のみを変えるからと言って何も変わりはしない。
金庫事故がもう1、2件があるとの言葉は明らかに経済首席のミスである。しかし、金監委はこれを可能性に過ぎないと即刻解明する報道資料を配った。にもかかわらず、マスコミはそれをそれほど取り扱ってくれなかった。市場に確認せずにそのまま報道してしまったマスコミも責任を問われるべきであろう。
銀行合併も、李瑾栄委員長が優良銀行間の合併を推し進めたことは事実である。大型化のために合併することこそ銀行の生き残れる方法であろう。自主的な合併を前提として合併することを促した。が、今だに労組はノーと言い続けている。自分の居場所が無くなるのを恐れるからではなかろうか。
ホン・チャンソン、チェ・ヨンヘ記者 hcs@donga.com






